ユーザーが、パッケージ/化粧箱を開けるときにどう感じるのか?
公開日:2022年06月12日(日)|ブランディング
iPhone箱=高級パッケージの代表?
最近、お客様からよくご相談があるのは「iPhoneの箱みたいなパッケージをつくりたい」というものです。
皆さん、iPhoneの箱・パッケージについて技術的にいいとか悪いとかはわからないけれど、何となく「iPhoneの箱はカッコいい、高級感がある」というイメージがあるようです。
すべての人ではないですが、実際にiPhoneの箱は捨てずに置いておく人が多くいます。恐らく普段この箱を使うことはないですが、なぜか捨てられずに置いてあると〜。
確かにそうですね。私もiPhoneはもちろん、iPadなどアップル製品のパッケージは全て捨てずに置いてあります。合理的な説明は出来ないですが、何故なのでしょうね?
そのアップルは、iPod、iPhone、Mac、Macbookなど高価な電子機器製品と同じくらい、製品パッケージのことを考えてデザイン&製作をしています。
アップル社内には、「箱の開封(Unboxing:下記参照)」を考える専門の部署があり、パッケージング(パッケージ)デザイナーが日々パッケージのことを考えています。
一般的にパッケージデザインというと、パッケージの形状(構造)やビジュアルなどが中心ですがアップルではそれだけにとどまりません。
人は箱を開けるとき、どう感じるのか?
その体験が、ブランド資産として積み重なる
製品パッケージに触れ、その箱を開けるときにユーザーがどう感じるか?
この箱の中からなにか美しいもの、とっても素晴らしい製品が出てくるのか。
箱を手に取り開ける瞬間からワクワクする感情が湧き上がってくるには、どんなパッケージが必要かを徹底的に考えてデザインするのです。
普通デザイナーは、プロダクト(製品)については徹底的に考えますが、そのパッケージについて外観上ではなく開封体験について深く考えることはありません。
製品パッケージに対しての視点が、他のメーカーとは根本的に違うのです。
彼らにとってのパッケージング(パッケージ)デザインとは、見た目だけではなくユーザー体験(UX:User Experience)つまり箱を開封するときにユーザーが感じるイメージや感動、ワクワクする期待感をデザインするのです。
ここまで考えてパッケージを考えるメーカーは、普通はありません。
当然、このためにアップルは膨大な時間と手間、そして予算を投資しています。
アップルにとって、製品パッケージは単なる包装資材というコストではないのです。
スティーブ・ジョブズは、そこまで考えてパッケージをデザインしたことに他なりません。
特に、iPhone箱(世界的にとても高度な技術レベルで作られた貼り箱)についてはあまりにも予算がかかり過ぎるため(年間数百億円の予算を投資)、社内全員があの箱について反対したといわれます。ただ、ひとりを除いて….。
そう。ただひとり「これでいこう!!」と考えたスティーブ・ジョブズは、iPhone箱をこのパッケージにしたらブランドの「顔」になる。この箱から取り出すときのワクワク感は、まさにiPhoneの価値を伝えると考えたのです。そして、このパッケージの開封体験がアップルのブランド資産(ブランドエクイティ)として積み重なっていくと。
アップルがここまで製品パッケージの「価値」、そして「意味」を考える哲学に脱帽です。
しかし本来パッケージ/商品の化粧箱は、ここまで考えてデザインして作るものです。
これは包装資材という単なるコストではなく、まさにブランディングでありマーケティングです。
アップルのようにはいかないまでも、パッケージング(製品を包むという行為)について真剣に考えて、その思いを持ってパッケージをつくってください。
パッケージの開封体験は、ブランドイメージに直結
今後は既存メーカーのみならず、特にD2C(Direct to Consumer)ブランドなどは、パッケージングについて緻密に考えていくことをお勧めします。何故なら、パッケージの開封体験はユーザーのブランドイメージに直結します。
あなたのブランドにとって、それが必ず、大きな「意味」を持って来るのです….。
※Unboxingとは、新しく購入した商品をそのパッケージから取り出す行動や経験全般のこと。開封体験。
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