Unboxing、アップルにみるパッケージによる究極のブランド体験とは?
公開日:2024年05月29日(水)|ブランディング
Macの専門雑誌(Mac Fan編集部)「Mac Fan 2024年7月号(5月29日発売、マイナビ出版)」で、「Macのパッケージのすごさ」について、私の取材記事がカラー4ページで掲載されました。
●第1特集
40年間愛された唯一無二のコンピュータ
その魅力を“専門家の目線”から解き明かす
【すごすぎるMacの世界】
なぜ私たちはMacに惹かれるのか──。それはAppleが単なる「商品」ではなく、常に「最高の製品」を目指し、Macを開発しているからにほかならなりません。プロダクトデザイン、パフォーマンス、UI/UX、サウンド、パッケージ…。ときに異常と言えるほどディテールにこだわり、Macを世に送り出しています。1984年以降愛され続けてきた革新的なパーソナルコンピュータのすごさを、プロフェッショナルや専門家への取材をもとに、改めて掘り下げてみましょう。(Mac Fanより)
単なる「入れ物」ではない。
Macの“外箱”にみる
究極のブランド体験とは?
Mac/アップル製品のパッケージについて、その裏側を覗いてみました。
アップルの考え方はパッケージのハード(機能)はもちろんですが、実はユーザーが箱を開ける時の「開封体験(アンボクシング:Unboxing)」を重視しています。
ユーザー(顧客)が製品を購入したとき、まず最初に目にして触るのは製品よりもそのパッケージ/化粧箱です。パッケージデザインを含めた箱自体の機能(ハード)はもちろん重要ですが、パッケージを見て手に持って、開封するまでの一連の行為を「顧客体験(User Experience)」として、ブランドイメージを届けています。
一般的にパッケージデザインというと、パッケージの表面のデザインを指すことが多いですが、アップル社内にはユーザーが「パッケージを開封するときにどう感じるか?」を研究する専門チームがあります。
彼らは日々、どうしたら人が箱を開けるときにワクワク、ドキドキするかなど人間の感情や心理を研究し、そこからどんなパッケージデザイン(ビジュアルはもちろん、形状、素材、重さ、厚み、開け具合など)に落とし込むかを考えています。
人が箱から商品を取り出す一連の行為から、そのときの感情を想像してパッケージのデザインをつくる(設計する)。そこから生まれたのが、MacやiPhoneの箱なんです。
つまり、アップルは製品パッケージを単に「モノ」としてだけ捉えているのではなく、マーケティング・ミックスの一つとして、包装全体(パッケージング:packaging)をブランド戦略として考えています。
パッケージ/パッケージデザインが、ブランド価値の創造と伝達、ブランド体験(顧客体験)、ブランドコミュニケーション、ブランド資産としての価値を生み出します。
その大きな役割と価値があることを十分に理解し、パッケージング全体をデザインしています。
商品パッケージは、ユーザー(消費者)とのコンタクトポイント/タッチポイント(顧客接点)としては直接、人の手が触れるコトができます。つまり、人の感情が大きく動くところなんですね。
アップルはそれをすごくわかっていて、コストではなく「ブランドへの投資」と考えているのがすごいところ。 大抵の企業(特に日本のメーカー)は「パッケージ=包装資材=コスト」とみるので、少しでも抑えようと考える。抑えること自体が悪いわけではなく、「意味なく」抑えることが問題ですね。
D2CやEコマースでは、ブランドイメージを決定づける
パッケージングをブランド戦略、ひいては経営戦略としての投資として、大きな考えでみていただきたいです。それが時間をかけて、あなたのブランド資産として積み重なっていきます。
アップルほどパッケージのことを真剣に考えている企業は世界でも稀ですが、「パッケージによるブランド体験」は、混沌とした今の時代において注目されつつあるブランド価値の創造です。
これはD2CやEコマースなど、直接実物の商品を見ずに購入する場合には特に有効です。もちろんそれに限らず、パッケージの開封体験がブランドイメージに直結するので、パッケージの印象があなたのブランドにとっての最初の入口になります。
あなたも、パッケージによるブランド体験をつくってみませんか?
Mac Fan 2024年7月号:マイナビ出版
(現時点で、WEB上での内容公開は制限されています。書店にてお買い求めください。)
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