貼り箱/パッケージのサイズは内寸法が基準。内寸と外寸で8mm違う理由
公開日:2019年09月06日(金)|貼り箱
パッケージの内寸法と外寸法の違いとは?
<Xでシェア> <Facebookでシェア>「せっかく作った箱に商品が入らない!?」そんなパッケージ製作の致命的な失敗を防ぐカギは、サイズの指定方法にありました。ブランドの信頼を守るために、注文前に必ず知っておきたい基本ルールを解説します。
組み箱と貼り箱は、まったく別物です
一般的な組み箱(トムソン箱)と、私たちの作る「貼り箱」では、外寸と内寸の差がまるで違います。 ここを知らずに発注すると、箱は完成しているのに中身が入らない、という一番やりたくない事故が起きます。
今日はその話を、実際の数字でお伝えします。

そもそも、内寸法と外寸法とは?
お客様からのお問い合わせで箱の大きさ(サイズ)をお聞きするのですが、大抵は箱の外寸法を言われます。 外寸法とは、その名の通り「箱の外側の寸法」のことです。一般的にはその認識が、普通なのかもしれないですね。
外寸法(外寸)とは、箱の一番「外側」を測ったときの寸法。 内寸法(内寸)とは、箱の一番内側、つまり中身が入る空間の寸法です。
一見、あまり違いがないように思いますよね。
これが組み箱(折り箱、トムソン箱)なら、使っているボール紙(厚紙)は「0.3〜0.5mm」くらいなので、正直そこまで気にしなくても構いません。
ところが、貼り箱はまるで違うんです。
貼り箱の内寸と外寸は、どれくらい違うのか?
上の写真の貼り箱はC式(一般的なお菓子の箱にあるような「かぶせフタ式」)で、ミ(下箱)とフタ(上箱)があります。外寸法は、フタの外側を測ったときの寸法。 内寸法は、ミの内側を測ったときの寸法。
この貼り箱で使っているボール紙の厚さは「1.5mm」。 仮に、内寸法が「100×100mm×深さ30mm」だとします。
ボール紙の厚み(1.5mm)が両サイドにあるので、ミの外寸法は「103mm」。 それにフタをかぶせるので、少し大きくないとフタはかぶさりません。 フタの方が「2mm」大きいとすると、フタの内寸法は「105mm」。
この「2mm」のギャップのことを、私たちは「合口(あいくち)」と呼んでいます。
そして、ミと同じくボール紙の厚み(1.5mm)が両サイドにあるので、フタの外寸法は「108mm」。高さ(深さ)も同じです。内寸法は「30mm」でしたが、ミの底とフタの天面に「1.5mm」ずつあるので、外寸法は「33mm」になります。
表にすると、こうなります。
| 測る場所 | 寸法 | 計算のしかた |
|---|---|---|
| ミの内寸法(=箱の内寸) | 100 × 100 × 深さ30mm | これが基準 |
| ミの外寸法 | 103 × 103mm | 内寸 + ボール紙厚1.5mm × 2 |
| フタの内寸法 | 105 × 105mm | ミ外寸 + 合口2mm |
| フタの外寸法(=箱の外寸) | 108 × 108 × 高さ33mm | フタ内寸 + ボール紙厚1.5mm × 2 |
おわかりですか?
内寸法「100×100×深さ30mm」の箱の、外寸法は「108×108×高さ33mm」。 縦横で「8mm」、高さで「3mm」の差が出ます。
「0.数mmの誤差でしょ」という話ではないんです。「8mm」です。

大きい箱、丈夫な箱ほど、その差は広がります
この差は、貼り箱のサイズや使うボール紙の厚さ、合口をどのくらい取るかで変わります。
もっと大きな貼り箱で、より強度を持たせるならボール紙は「2mm厚」以上。 深い箱なら、合口も「3〜4mm」くらい取ることがあります。
そうなると内寸と外寸の差は、縦横で「10mm以上」、高さで「4mm」くらいになります。
つまり、箱が立派になればなるほど、差は広がっていく。 高級感を出そうとして紙を厚くした結果、中身が入らなくなる。これが貼り箱の怖いところです。
外寸で伝えると、何が起きるのか
もしサイズを外寸法でお伝えいただくと、中はそれよりも数mm、場合によっては10mm以上小さくなります。 中身の商品が「入らない」ということが、現実に起こります。
キャラメル箱のような組み箱なら、紙が「0.3〜0.5mm」ですから、内寸と外寸の差はほとんどありません。 だから外寸で話が通じてしまう。その感覚のまま貼り箱を発注されると、ここで事故になるんです。
しかも箱は、作り直しがききません。 数百個、数千個を作ったあとで「入らない」となれば、費用も納期も全部やり直しです。
そしてもっと痛いのは、その箱が商品の顔になるはずだったということ。 お客様が最初に触れる、ブランドの第一印象になるはずだったものです。 それが倉庫に積まれたままになる。これほどもったいないことはありません。
だから、しつこいようですが、これだけは。
貼り箱を依頼するときは、「内寸法」を教えてください…!!
では、その「内寸法」はどうやって決めるのか
ここまで読んで、次にこう思われたはずです。 「内寸で伝えるのはわかった。で、その内寸って、どう決めるの?」
ここからが本題かもしれません。
中身の寸法=内寸法、ではありません
商品を測って「幅80mm」だったとして、内寸を「80mm」にすると入りません。 入ったとしても、無理やり入れた状態なので取り出せない。ギフトなら、開けた瞬間の体験が台無しになります。
中身に対して、どれくらい余裕(クリアランス)を取るか。 これは中身の形状、素材、硬さ、そして緩衝材(内装:「ゲス」といいます)を入れるかどうかで変わります。
内装(ゲス)がないとしても、商品と箱とは最低「2〜3mm」程度のクリアランスが必要です。ただこれでは箱を逆さにしないと中の商品が取り出せません。縦横のどちらかに指が入るくらいの隙間(8〜10mm)を設けるのも一つですが、そうすると今度は商品がその隙間があるために踊ります(隙間の中で動くの意味)。
内装(ゲス)や緩衝材があるなら、その厚みも足す
台紙、スポンジ、中仕切りを入れるなら、その厚み分も内寸に足す必要があります。 特に深さ。「商品の高さ+台紙の厚み+フタとの隙間(クリアランス)」で考えないと、フタが浮きます。
フタが少し浮いた箱は、見た瞬間に「安っぽい」と感じられます。 中身が入っているかどうかより、まずそこを見られてしまう。
深さは、どこからどこまでを測るのか
深さの内寸は、ミの底の内側から、ミの縁の上端までです。 底のボール紙の厚みは含みません。ここもよく行き違いが起きるところです。
そして、寸法には公差があります
先に正直なことを申し上げます。
私たちは、貼り箱の公差を「±◯mm」という数字ではお出ししていません。
出さないのではなく、出せないんです。
紙は、湿度で伸び縮みします。
そしてその伸び縮みの量は、紙の種類によって変わります。
その日の気温と湿度によっても変わります。
貼り合わせに使うニカワ(接着剤)の濃度でも変わります。
貼り箱は、それらが全部絡み合ったところに、人の手が入って仕上がるものです。
機械が同じ動きを繰り返して出てくる製品とは、成り立ちが違います。
だから「うちの箱は必ず±◯mmに収まります」と言い切るのは、私たちには誠実ではないと思っています。
※公差(こうさ)とは、設計上の基準寸法に対して許される誤差の範囲のこと。機械加工なら「±0.1mm」のように指定できます。ただ、紙と手仕事の世界は、そこまで単純ではありません。
では、どうやって精度を担保するのか
ふたつです。経験と、サンプル。
1つ目は、設計に「幅」を織り込むこと。
30年以上、この紙ならこれくらい、この形ならこれくらい、と身体で覚えてきた分の余裕を、あらかじめ寸法に見込んでいます。数字で説明できるものではありませんが、ここが職人の仕事です。
2つ目は、量産の前に必ずサンプルを作ること。
実際に箱を作って、実際に商品を入れて、サイズを確認します。
入るか。取り出せるか。フタが浮かないか。指がかかるか。
そこで初めて、机の上の寸法が「本当に合っているか」がわかります。
数字での保証はできません。
でも、現物で確認してから量産に入る。これが、私たちのやり方です。
商品側の公差は、必ず確認してください
一方で、中に入れる商品の公差は、事前に確認できます。
ほとんど誤差のないものもありますが、プラスチックやガラス製品、木工製品などは、多少なりとも個体差があります。仕入れ商品なら、メーカーに問い合わせてください。
「サンプルの1個はきれいに入ったのに、量産品のいくつかが入らない」
この手のトラブルは、たいてい箱側ではなく商品側の個体差が原因です。
図面は、あった方がいい。でも、なくても進められます
正直なところ、正式な商品の図面があると設計はしやすいです。仕入れ商品なら、そのメーカーに尋ねてもらってください。
どうしても入手出来ない場合は、現物から判断するしかありません。その場合はある程度「余裕」をみておかないと、商品サイズの個体差があるので、最悪「入らない」となることもあります。
そこは、私たちは今までの経験値があるのでご相談いただければ結構です。
気兼ねなく、ご相談ください。
どうぞ、よろしくお願い致します。
▶︎ ぜひ、工場へお越しください。貼箱、紙サンプルをご覧いただけます
よくあるご質問
Q1. 内寸法と外寸法、結局どちらを伝えればいいですか?
A1. 内寸法です。中に入れるものが決まっているなら、必ず内寸法でお伝えください。棚や什器に収める都合で外寸に制約がある場合は、「内寸は◯◯、ただし外寸は◯◯以内で」と両方お伝えいただければ、こちらで調整します。
Q2. 貼り箱の内寸と外寸は、どれくらい違うのですか?
A2. 紙厚1.5mm・合口2mmの貼り箱で、縦横が「8mm」、高さが「3mm」ほど違います。紙を厚くしたり、大きく深い箱にすると合口が変わるので、縦横で「10mm以上」、高さで「4mm」ほどになることもあります。
Q3. 組み箱(トムソン箱)でも同じですか?
A3. いいえ。組み箱で使うボール紙は「0.3〜0.5mm」程度なので、内寸と外寸の差は貼り箱ほどはありません。だからこそ、組み箱の感覚のまま貼り箱を外寸で発注するとトラブルになります。
Q4. サイズが、まだ決まっていない段階でも相談できますか?
A4. 可能です。むしろ、決まる前の方がいいかもしれません。まだ白紙の状態ですから、一から一緒に考えていきましょう。商品の企画と箱の設計は、本来は同時に進めるものだと考えています。
Q5. 貼り箱の寸法の公差はどれくらいですか?
A5. 申し訳ありませんが、「±◯mm」という数値ではお出ししていません。紙の種類、その日の気温と湿度、ニカワ(接着剤)の濃度など、要素が複雑に絡むためです。そのかわり、経験で見込んだ余裕を設計に織り込んだうえで、量産前に必ずサンプルを作り、実際の商品を入れて確認します。
▶︎ 関連:[納品までの流れ]
最後に
箱のサイズは、ただの数字ではありません。
「開けたときに、商品がきれいに収まっているか」「取り出すとき、指がすっと入るか」「フタを閉めたとき、スッと落ちてスッと止まるか」
その全部が、内寸法という一点が基準となって決まっていきます。 そしてお客様は、その理由を言葉にはしません。ただ「なんかイイな」と感じるだけです。
たった数mmの話が、ブランドの印象を決めてしまう。
だから私たちは、この「内寸法」にこだわります。
著者:村上紙器工業所 代表 村上 誠
大阪で三代続く貼り箱製造業を営み、パッケージを通してブランド価値を設計するパッケージコンセプター。30年以上、様々なお客様の課題解決の経験を活かして、パッケージデザインから顧客価値を提供します。
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