デザイナーがパッケージ、貼り箱をデザインするときの注意点

公開日:2019年07月14日(日)17:14|デザイン

貼り箱におけるパッケージデザインは難しい?
素材と加工を知るのが近道です

先日、知人の女性デザイナーら4名が、工場見学に来られました。以前から、製作現場を見てみたかったそうです。

デザイナーはパソコンのモニター上でデザインすることが多いですがパッケージ、特に貼り箱は印刷というよりも素材(主にファンシーペーパーなどの紙素材)そのものを貼ってつくります。印刷でちゃんとした色再現をするのも難しいですが、素材そのものを加工していく貼り箱はもっと難しい点が多々あります。
デザインの注意点として大きいのは、素材の選択とそれに合った加工方法です。

まずは、素材選び。
貼り箱においては、「素材選びがすべて」といってもいいくらいです。
弊社は10年以上前からブライダル関連の貼り箱を多く手がけており、ビニールレザーや布生地なども貼りますが、やはり高価な素材なのでそれ以外で使うことはそう多くはありません。
もちろん、「お金をかけてもいい」なら話は別ですが。笑

和紙を使うこともありますが、基本的にはタントなどファンシーペーパーと呼ばれる装飾性の高い洋紙(印刷にはあまり使いません)を使うことが殆どです。
ファンシーペーパーは様々な種類がありますが、貼り箱に使うにはかなり限られたものになります。まず重要なのは、「厚み」と「硬さ(しなやかさ)」です。
弊社は自動機による大量生産(数千〜数万個以上)ではなく、手加工による少量生産(主に数百〜1,000個、多くても2〜3,000個程度)で、扱う紙は同業社間でも微妙に違います。
弊社では四六判換算で「70〜90kg」が大体の目安で、これは紙の種類によっても若干変わります。つまり紙の連量は重さを基準にしているので、その紙の厚みとしては大体の目安です。
同じような厚みでも、紙によって「硬さ(しなやかさ)」は違います。厚みの割に比較的やわらかい紙もあれば、逆にちょっと硬めのものもあります。

薄くてやわらかいと、糊付機(紙に接着材「ニカワ」を付ける機械)のローラーから紙が離れず巻き込んでしまいますし、貼れたとしても薄過ぎて箱の角がキレイに出来なかったりします。
厚くて硬いと糊付機を通ったとしても、箱に貼るのが硬くてやりしくですし、何よりも角部分が浮いてキレイには仕上がりません。これは、貼り箱にとっては致命的です。

とりあえず「貼り箱」にはなりますが、角が浮いてしますと見た目にはキレイに見えません。しかし実際に市場に出回っているものには、この「角が浮いてる(もっとひどいものは平面も)」貼り箱は決して少なくありません。それは紙の選定を間違っている場合と、貼り加工がちゃんと出来ていない場合があります。

それが市場に出回るのは、わかっていても単価がすごく安い場合やデザイナーなどがデザイン時に素材や加工の知識がなく、そのまま製作された場合などです。
どちらも、結構あります。
とにかく予算優先で「安ければ少々のことは目をつぶる」ケースもありますし、デザイナーの指定で、有無を言わさずそのまま作ってしまうことも。

「予算=コスト優先」だと箱はどうなるか?

現実には「予算=コスト優先」でパッケージのクオリティは二の次、特に商品単価が低い商品パッケージでは珍しくありません。最近はコスト競争が激しいためよく起こりますが、普通に考えていくら安く作ってもそれではそのブランドの価値そのもを低下させてしまいます。それに気づかないというのが、恐ろしいところです。

また後者はデザイナーの指定で素材や形状などの仕様が決まってしまっていて、その通りに作って貼り箱そのもののクオリティが損なわれている場合です。

かなり前ですが東京から「一度、貼り箱を見てもらえますか」というご相談がありました。
サンプルを送ってもらって見たのですが、「この仕様で量産したら、絶対トラブルを起こしますよ」というほど驚いたことがありました。
名前は言われませんでしたが日本でも著名なあるデザイナーのデザインらしく、製作を受けた会社も「NO」といえずに、その仕様で作ったら案の定トラブったというケースでした。
現実的には最初から「無理」とわかっていて作るのは、まさに「悲劇」ですね。
そのときはこちらもどうしようも出来ないので、そのままお断りせざるを得ませんでした。

デザイナーが素材や現実の加工のことを知らずにデザインすると、とんでもないことになります。また中には、それらを知ろうとしないデザイナーもいます。パッケージデザインをする前に、加工現場とコミュニケーションが取れていたらこんなことになりません。
どんなに素晴らしいデザインでも、「モノ」としてちゃんと成立しないと意味がありません。
デザイナーにはそれらの「知識(ある程度でいいので)」と、相談出来る「ものづくりの現場」を持っていて欲しいと思います。

また貼り箱はトムソン箱(組み箱)と違い、変形箱(六角形など)を作るのは簡単ではなく作るとしてもとても費用がかかります。時々かなり複雑なデザインの貼り箱の案件が来ますが、「予算がいくらかかってもいいですか?」というくらい、量産することを考えていないすごいデザインがあります。

これも東京からでしたが(東京案件がすべてこんなんじゃないですよ)ロット5,000個だったか、そのデザインで作れば最低でも恐らく単価は@8,000円以上、納期は二年以上はかかるお話でした。そのデザイナーはご自分でダミーを作られていて「こんな貼り箱を〜」と言われてましたがまさに「工作」の状態で、それを「製品にする」ことがどういうことなのかは全く考えておられませんでした。もちろん予算や納期が合わず、こちらで代替え案を出して価格も出来るだけ抑えてサンプル製作まで行いました。デザイナーとクライアントもこちらが提案したサンプル案を気に入っていただきましたが、やはり当初の予算などが合わず話は流れました。
パッケージの企画やデザインの段階でご相談をいただいていたら、話の流れは変わっていたかもしれません。貼り箱のことを理解してデザインするならいいのですが、知識のないままデザインのみが先行すると「絵に描いた餅」になってしまいます。

デザインとモノづくりの融合

デザイナーの皆さん、まずはつくり手に声をかけてご相談ください。
デザインとモノづくりが融合することで案件がスムーズに進み、そして素敵なパッケージの化粧箱、貼り箱が作れると思います。

<貼り箱士のブログ>
https://www.hakoya.biz/blog/
<目的から作例を探す>
https://www.hakoya.biz/item/
<作例を写真で探す>
http://www.hakoya.biz/item/gallery.html
<お問い合わせ>
https://www.hakoya.biz/inquiry/

貼箱の製作風景。ここではブック式貼箱のミ箱に「巻き」を掛けています。
一般的には、天面を中心に四方の側面に包んでいきますが、ブック式では底面(天面)を貼っても表紙に隠れるため意味がないので、弊社では箱の側面を紙で巻いていきます。そうすると四隅の角部分は「つなぎ目」ができないので、箱はキレイな仕上がりになります。


デザイナーが机の上で見ているのは、色のあるタント紙の上に透かし和紙を二重貼りした貼り箱。

デザイナーがパッケージ、貼り箱、化粧箱をデザインするときの注意点、透かし和紙
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「包む」から、新しい「価値」を作る会社です。

村上紙器工業所

<貼り箱 × ブランディング × 体験デザイン>
ブランドは、そのイメージや感じ方をコントロールすること。
シンプルで美しく、お洒落なオーダーメイド貼り箱を通して
商品や企業が本来持っている思い、そしてブランドとしての
「〜らしさ」をメッセージとして伝えます。

手間をかけることは「愛情」をかけること。
「愛情」をかけることが私たちの仕事です。

貼り箱にとっての感性品質とは、性能や効率だけではなく
心地よい、官能的、温もりがある、などデザインや素材感を活かし
人の “感性” に直接響く「魅力的品質」をいいます。

そんな “ゾクゾクするほどの美しさ” や “ワクワク感” のある貼り箱を
私たちは作っていきたいと考えています。

  • 06-6653-1225

貼り箱、化粧箱、ギフトボックスについて、企画、製作、提案のご相談からちょっと電話で話を聞いてみたいという方はお気軽にご連絡ください。
担当:村上 誠
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