昔と現代では寸法精度が全く違う貼り箱

公開日:2019年09月07日(土)貼り箱

今では考えられない竹製の物差しで測っていた貼り箱

貼り箱屋でも今では中々お目にかかれないですが、昔は竹製の曲尺(かねじゃく)を使っていました。

私の世代(50代)では使うことはないですが、私の父親の世代では曲尺が普通に使われていたようです。もちろん、貼り箱屋さんにもよると思います。
昔、私の父は寸法は「尺」でやっていて、お客様によっては「1尺2寸5分の箱、お願い」という注文もあったようです。

1尺(しゃく)は約303mm、1寸(すん)は約30.3mm、1分(ぶ)は約3.03mm。
現代の「ミリメートル」にすると、正確ではありません。

昔と現代では寸法精度が全く違う貼り箱

最小単位の一目盛り(1分)でも約3mmなので、今でいう「1mm」や「0.5mm」などは表せません。
昔の父の寸法帳(貼り箱の寸法を記録してあるノート)には、「3寸7分強」とか「2寸4分弱」とか書いてありました。
父に尋ねると「3寸7分より、ちょっと大きめや」とか言ってました。

毎回作るたびに、微妙に箱の大きさが違う。
昔は箱のサイズも、こんなんでよかったんでしょうね。
古きよき時代というか、特にクレームになることもなかった。

現代においては、当然こんなことはありません。
すべてミリメートルが単位ですし、トムソン木型(ボール紙の抜き型)をつくるときは、「1/10mm(0.1mm)」や「1/20mm(0.05mm)」単位で寸法指定をします。

貼り箱では、このくらいの微妙な調整をしながら寸法を決めていきます。
といっても現場で20年以上の経験がある我々でも、実際には本生産(量産)をしてみないと寸法出しについてはわかりません。

昔と現代では寸法精度が全く違う貼り箱

例えば、フタの合口(あいくち)。
かぶせフタで開け閉めするときの固さは、ミ(下箱)の外寸とフタの内寸の差を何ミリにするかで決まります。

ただしその寸法差(例えば2mm)が同じでも、フタの深さやミとフタに貼る紙によって変わって来ます。フタが深いと合口(ミとフタの隙間)を広めに取らないといけないですし、紙の厚さや表面の質感によって開け閉めのしやすさが変わります。

貼る紙によって微妙に厚み(約0.1〜0.15mmくらい)が違いますし、滑りやすい紙(パール紙とか)とザラついた紙ではこすれるときの摩擦抵抗の違いで、フタの開けやすさ閉めやすさが変わります。

先日設計した貼り箱(長方形)の合い口は、短い辺を「1mm」、長い辺を「1.25mm」にしました。箱のサイズやフタの深さ、貼る紙から「この寸法でいこう」と現場担当とも相談して決めました。

実際に量産しましたが、まあまあ予想した感じの合い口でした。
弊社は職人による手仕事なので量産の場合、個体差が出ます。

合い口「固め」は特に難しく、設計の段階で「ここを0.1mm伸ばすかどうか?」で気をもみます。
量産の前にサンプルは必ずつくるのですが、サンプルと量産品は微妙に違うため、本生産でのわずかな寸法を決めるのは毎回の悩みどころです。

「2寸4分弱」と言ってた時代とは大違いですが、それだけ貼り箱は精度が求められるパッケージなのです。

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