パッケージは、素材を選んだ時点でクオリティが決まる

公開日:2023年07月28日(金)貼り箱

顧客視点の重要性
素材表面の質感が大切であり
それによって、様々なことが起きる

パッケージ/化粧箱、特に紙などの素材を直接貼って作る貼り箱は、素材を選んだ時点でクオリティが決まります。クオリティ(品質)とは仕上がりのことだけでなく、将来に渡ってどの程度の品質を維持出来るかということでもあります。

パッケージ表面が紙である以上、いろいろなものや場所に触れて擦れます。したがって、表面は必ず汚れたり擦り傷が着きます。
私たちは、それを前提に素材を選んでいきます。つまり、汚れや擦り傷が着いても、それらが目立ちにくい素材を出来るだけ選択するようにします。
単に見た目の良さだけで選んでしまうと、最終的に大変なことになるのです。

パッケージは、素材を選んだ時点でクオリティが決まる
クロコGA、このくらいのエンボスなら比較的擦り傷は目立ちにくい


紙(ファインペーパー/ファンシーペーパー)は、平和紙業や竹尾からミニサンプル帳が出ています。実際の紙を小さな本のように綴じたもので、写真ではなく実物の紙見本の集まり。種類ごとに一冊にまとめられています。
紙は実際に目で見て触ってみないと、色や質感は中々わかりません。
色はもちろんですが、紙表面がさらっとしてる、ざらついてる、凹凸があるなどの素材感、厚みや堅さが貼り箱に適しているか。作れるとしても、白など明るい色の紙だと汚れると目立ちやすいです。

あと、問題になるのは擦り傷。紙である以上、加工中に擦れますから擦り傷はどうしても着きます。何より大きいのは、完成出荷後にクライアント企業に行ってからです。

私たちが作る貼り箱は、それ自体が商品です。仕上がりを考えると完璧は無理ですが、出来る限り擦り傷や汚れが着かないように作ります。

しかしクライアントに納品されると、消費者に渡るまでの流通段階で、いろんな場面や人の手が関わります。クライアント内では、まずは中身の商品を箱詰めする作業があります。社員やパートさんの場合もあるでしょう。彼らは、このパッケージは擦り傷が着きやすいことは知りません。普通に「作業」として、箱詰めを行います。

作業机の上で、箱が擦れるかもしれません。もっというと、段ボールケースから貼り箱を取り出すときにでも、雑に扱われると擦り傷は着きます。その後の輸送や発送段階で、また様々な人の手が関わります。

汚れや擦り傷が着く過程は、山のようにあります。
なので、それらが起こることを前提に素材を選ぶ必要があります。
単にミニサンプル帳をみて「この紙、いいね〜」で、選んでは絶対にいけません。

パッケージは、素材を選んだ時点でクオリティが決まる
白い紙は、汚れが目立ちやすい。しかしエンボスがあると、比較的目立ちにくくなります。
パッケージは、素材を選んだ時点でクオリティが決まる
考え方の問題ですが、この表面はかなりフラットなので擦り傷は目立つ。しかし、この漆黒の深い黒の魅力が傷より勝る。そんな場合は、リスクより魅力を優先するのも一つの方法。

素材の厚みや硬さ、表面の風合いによって仕上がりが違ってくる

具体的にいうと表面がフラットで凹凸がない紙、こういう紙は少し擦り傷が着いてもよく目立ちます。出来ることなら、エンボス(模様のような凹凸)が入っている紙をお勧めします。例として、クロコGA、TSギフト、岩はだ、タッセルGAなど。ただエンボスがあっても、傷が目立ちやすいものもあります。私見ですが、サガンGAなどはエンボスはとてもいいのですが、擦り傷は目立ちやすい気がします。

また堅すぎると箱の角が浮きやすくなるのでこれも良くないです。紙は、元々「まっすぐ」なもの。ある意味、箱にするにはそれを無理やり曲げます。ということは、まっすぐに戻ろうとする。つまり、90度もしくは180度曲げている角部分は、浮いてきます。

厚みと堅さの目安でいうと、連量(規定サイズの紙を1,000枚重ねた重量)で四六判70〜90kg程度です(※弊社での基準)。ただし同じ連量でも紙によって堅さが違うため、実物で確認する必要があります。

顧客視点:最終的にお客様が手にしたときを考えて、パッケージデザインすることが大切

最終的に消費者に渡ったとき、出来るだけいい状態で貼り箱を届けたいというのが、私たちの思いです。お客様から「この紙を貼ってください」といわれて、何も考えずに貼ってしまうと、最終的に汚れや傷だらけの貼り箱になりかねません。

クライアントのご希望は出来る限り尊重しますが、プロであるデザイナーさんだとしても素材については詳しくない方が殆です。逆にいうとデザイナーさんほど、紙のビジュアル(見た目)重視で選ばれる方が多いです。

もちろんとても大切なことですが、ビジュアル優先で実際の加工やそのあと工程、流通などを考慮しないと、現実問題としてクオリティの低いパッケージになってしまいます。
それは素材を選んだ時点で決まってしまうので、「最終的にどうなるか?」を想像しながら慎重に選ぶ必要があります。

このあたりは実際にパッケージをつくる加工会社などに相談するのが、一番得策だと言えます。
最終的なクオリティを求めるなら、素材はデザイン段階で決めるのではなく、加工現場の人間と相談しながら決めることをお勧めします。

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(まずは、ちょっと電話で聞いてみたい時は06-6653-1225 担当:村上 誠 まで)

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ここまで素材感があると、擦り傷や汚れは関係なくなります。
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エンボスではないが、質感として傷が着きにくい素材

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