今だからこそ手仕事の大切さ、大量生産ではないパッケージ/化粧箱

公開日:2022年04月26日(火)デザイン

機械にはできない、ひとつひとつの想いを包む

堺打刃物の製造、卸をされている株式会社福井様のオリジナル和包丁ブランド「HADO(刃道)」。
そのパッケージとして作らせていただいている貼り箱のドローイングを創っていただいた世界的なアーティスト、フィリップ・ワイズベッカーさんの作品展が開かれます。

Life in Art
フィリップ・ワイズベッカー「HANDMADE ハンドメイド」展

2022年4月22日(金) ー 6月26日(日)

フィリップ・ワイズベッカー
Philippe Weisbecker
1942年生まれ。世界的なアーティスト、イラストレーターとして、現在はパリ、バルセロナを拠点として活動中。

和包丁の貼り箱/パッケージ
「パッケージからはじまるブランディング、和包丁ブランド」

非効率だからこそ、唯一性をつくるパッケージ

今だからこそ手仕事の大切さ、大量生産ではないパッケージ、化粧箱

素材の息づかいを活かす、丁寧な箱づくり

デジタル化の時代、ビジネスにおいては生産性や効率化がすべてに優先されます。
そんな時代、私たちは手仕事によって貼り箱をつくっています。
ある意味、時代とは矛盾しています。工業製品と考えると、とても非効率なものづくりです。

しかし世の中すべてのものが、生産性や効率重視でつくられていいのでしょうか?
もちろん、そういったものを否定するわけではありません。生産性や効率重視によって、高品質で安価、そして均一化された良い商品が消費者に届きます。

それに抗うように、人の手によってつくられるものもあります。
先日、全国で唯一晒から染めまで一貫した生産をされている、注染(ちゅうせん)の西川由染晒工場(大阪府堺市)さんへ見学に行きました。
今までテレビなどでは見たことがあったのですが、はじめて注染を間近で見ることができました。
想像していたよりはるかに、人の「手」でつくられていることに驚きました。

デジタル時代だからこそ、人の手を感じる価値を

現場は若い人がされているのにも驚きましたが、まさに職人の手業による緻密な作業です。
これは機械化しても(無理だと思いますが)、意味がないでしょうね。人の手でつくられること自体に、意味があるんだと感じました。もし機械で自動化されたラインによる大量生産品だとしたら、それは単なる工業製品です。手仕事でつくられるというのが、注染としての面白いところです。

私たちがつくる貼り箱と、同じニオイを感じました。
作り方も作っているものも違いますが、共通の思いというか魂みたいなものがあります。

貼り箱も、機械化による大量生産品は存在します。そういうものも必要ですからね。
例えば、バレンタインのチョコレートの貼り箱などはその典型的なものです。バレンタインの時期には、大手メーカーだったら1アイテムでロット100万個とかの単位で貼り箱が必要になります。そんな数量を手仕事でつくる訳にはいきませんし、当然価格面でも安価には作れません。
やはり、その商品が必要な状況によって変わってきます。

私たちがつくる貼り箱は、100個くらいから多くても1,000個くらいの小ロットが殆どですし、その分高度なクオリティを要求され難しい素材を使う貼り箱が多いです。
そうなると機械化してつくるには限界があり、人の手でつくることになります。

効率や生産性では機械には敵いませんが、最も優れたセンサーと言われる人間の「手」の感覚が素材の持ち味を活かしたり作りを加減したり、また箱の角の隅をきちっと入れたりと、手が考えて貼り箱をつくってくれます。
これは、人の手にしか出来ないものづくりであり手仕事なのです。

考える手

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