パッケージ/デザインがブランド資産価値になる

公開日:2024年03月25日(月)ブランディング

ブランディングするということ

フェラーリは自動車ではなく、エルメスやロレックスなどラグジュアリーブランドと同じ。売れるからといって、大量生産はしません。一般的な自動車メーカーのように、効率重視のものづくりではないからです。

生産台数でいうとフェラーリはトヨタのざくっと1/1,000。しかし、車両価格は約3,000〜5,000万円、限定車は1億円〜以上。そして一台あたりの利益は、トヨタの40〜50倍です。

今や世界一となった日本のトヨタも、カテゴリーでいうとフェラーリと同じ自動車メーカです。ただし、売っているものが違います。トヨタをはじめとする既存の自動車メーカーが売っているのは、あくまでも「移動手段」としての自動車。
それに対してフェラーリは、スーパーカーとしてのフェラーリを自ら操る、フェラーリを所有するという「意味」を売っています。そのため、フェラーリというブランドの高い付加価値があるのです。

トヨタに限らず、日本の大手メーカーはブランド価値向上にはあまり投資をしません。実質的な「いいモノ」を作ることには力を入れますが、ブランド価値やブランド資産といった考え方は欧米のブランドのようにはなれていません。

ブランドとしての価値や意味を売ることには、あまり熱心ではないのです。それは、とても勿体ないと思います。

ブランドとは他との差異化

ちなみにブランドとは、決してフェラーリやエルメス、ロレックスといった世界的な大企業だけが持つものではありません。中小企業や小さなお店であっても、ユーザーの心の中にそのイメージができれば、立派な「ブランド」になります。

それは同じような商品が沢山ある中で、他と差異化できているということです。
差異化とは、他との違い(よくあるのは同質的なスペック競争)というよりも、独自の価値(他と方向性/ベクトルが違う)として認識され、共感してファンになってくれます。商品を購入する行動を伴いながら、一種の「愛」を育む感じでしょうか。
例え大手メーカーでなくても、憧れや尊敬を持ったブランドになることで、それを「欲しい」と思ってもらえるのはしあわせなことですね。

パッケージ/パッケージデザインは無形資産

そして商品のパッケージ/パッケージデザインも、それに寄与する重要なツールです。
コカ・コーラといえば、あの赤いロゴだったり、くびれたボトルや瓶(最近は中々見かけませんが)はひと目見て「コカ・コーラ」だとわかります。
また、アップルのiPhone箱はパッケージだけでなく、その開封体験(Unboxing)もユーザーにもたらします。

ブランドコミュニケーションとしてパッケージ/パッケージデザインは、そのイメージがブランドの印象としてユーザーの心の中に刻み込まれるのです。パッケージ/パッケージデザインは目に見えるものですが、ブランドイメージという無形の資産価値をつくってくれます。これは、土地や機械設備のように会計帳簿には載りません。

しかし、ユーザー/消費者の心の中にイメージとして存在することで、「憧れ」や「欲しい」と思わせる存在になるのです。

パッケージ/パッケージデザインやブランディングは、一般的には中々わかりにくいものです。企業としては「これで商品が売れるのか?」と思われますが、現実にブランドといわれるものはブランド資産として長期的な目線でみています。

最終的にブランドという見えない価値になり、この無形資産が商品/サービス(高級フィットネスクラブのチケットを入れる化粧箱とか)の売上げと利益を生み出すのです。

有形なのに、ブランドの無形資産価値を生むパッケージ/化粧箱。あなたも、考えてみてはいかがですか。

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