貼り箱の紙の厚みは60kgか90kgか?トーンFで実際に貼り比べた結果
公開日:2019年01月24日(木)|貼り箱
その差は正直「微妙」です。でもその微妙が、箱の格を決める
<Xでシェア> <Facebookでシェア>トーンFという紙を、四六判60kgと90kgの2種類で実際に貼ってみました。カタログの数字だけでは分からない、角の立ち方、下地の透け、そして本生産で起きる「凹み」のリスクまで。三代続く箱屋が、自分の手で貼って確かめた記録です。
トーンF CG1を、四六判60kgと90kgで実際に貼り比べてみた
トーンF(tone-f:平和紙業/現・王子エフテックス)という新しい紙。お客様のリクエストがあったので、サンプルを作りました。色は「CG1」、トーンFの中では一番白い紙です。
無彩色ながら紙表面は質感のある豊かな表情をしていて、紙としてはコシのある堅さがあります。
連量は四六判60kg、90kg、160kgの3種類。それぞれダイヤルシックネスゲージ(紙やフィルムなどの厚みをレバー操作で素早く測定できるハンディタイプの測定器)で実測したところ、0.11mm/0.16mm/0.29mmでした。このうち貼り箱に使えるのは、60kgと90kgの2つです。
ちなみにこの実測厚みから逆算すると、トーンFの密度は約0.64g/cm³。一般的な上質紙(おおむね0.7〜0.8程度)より低密度な「嵩高(かさだか)」の紙です。
ただ一般的なファンシーペーパーの同じ連量に比べて堅さがあるので60kgでもいいかと思いますが、ちょっと薄い気もします。やはり、テスト貼りをしないと何ともいえません。
60kgはエッジが立つ。ただし本生産では角が凹むリスクがある
そこで、この2種類を試しに貼ってみました。
ポイントは2つ。貼り加工と仕上がりの具合です。
加工しにくいのも難しいですし、最終的な仕上がりがどうなのかも気になるところ。
貼箱の完成写真(上:60kg、下:90kg)でいうと、60kgだとやはりちょっと薄めのため、天面の四辺の角部分は、ちょっとエッジが立ちすぎます。
これはあくまでもサンプル製作なのでキレイですが、この45度の斜め部分の中は空洞なので、本生産だと押さえ加減で凹む場合があります。

90kgは角が柔らかい。ただし手間と紙代が上がる
90kgだと硬さがあるのでここまでエッジが立ちにくく、角はもう少し柔らかい感じになるでしょうか。
ただし本生産だと数量をつくるとなると個体差も出ますし、数が多いと90kgの硬さはかなりの手間がかかると思います。
あとは、側面の「フラップに紙が重なる部分」は、紙が薄いほど下地が透けるので少し目立ちます。
微妙な違いと言えば、微妙です…。
結局、どちらを選ぶべきか——箱屋としての判断基準
どちらの厚みも一長一短があるので、どちらがいいかは箱屋としても判断が難しいですね。
エッジを際立てたいなら60kg、ただし角部分が凹むかもというリスクも。
少し柔らかい感じの方がよければ90kgでしょうか。こちらは、費用的(紙代+加工代)に少しアップするでしょう。
| 優先したいこと | おすすめ | 理由 | リスク |
|---|---|---|---|
| シャープなエッジ・端正な印象 | 60kg | 角が立ち、シルエットが締まる | 本生産では押さえ加減で角が凹む場合あり/フラップ重なり部の下地が透ける |
| 柔らかい手触り・高級感 | 90kg | 角に丸みが出て、手に馴染む | 紙代+加工代がアップ |
| 数量が多い(目安500個超) | 60kg | 加工負荷が軽く、個体差が出にくい | 角の凹みリスクへの対策設計が必要 |
シャープなエッジがでる「60kg」は捨てがたい魅力がありますが、本生産では押さえ加減で角が凹む場合があるためどうしてもリスクがあります。
300〜500個程度までの小ロットであれば、紙代+加工代が少し上がり、エッジのシャープさも若干劣りますが、柔らかい手触りの高級感を演出できる「90kg」を選ぶのは合理的な判断です。
ただし、まとまった数量をつくるなら話は変わります。数が増えるほど90kgの硬さは加工の手間になり、個体差も出やすくなる。「どちらが正解か」ではなく、「何個つくるか」で答えが変わる。それが、この2種類の紙の本当の違いです。
※この記事は2019年の検証です。2026年現在、トーンFは継続抄造されており当社でも取り扱い可能です。
著者:村上紙器工業所 代表 村上 誠
大阪で三代続く貼り箱製造業を営み、パッケージを通してブランド価値を設計するパッケージコンセプター。
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