消費者が求めるのは、スペックではなく自分にとっての特別感

公開日:2022年10月06日(木)ブランディング

マーケティングとは、消費者の頭の中にブランドを築くこと

最近はビールも、クラフトビールをはじめ様々な種類があります。

中でも、結構前からあるプレミアムビールというカテゴリー。1980年代くらいから、パッケージデザインを刷新して市場に登場してきました。ただし、爆発的に人気があったわけではありません。

2000年代前半には「ザ・プレミアム・モルツ」が発売されましたが、これもしばらくは大ヒットのは至りませんでした。

出典:サントリー

当初サントリーの宣伝コピーは、「麦芽100%」「天然水使用」「モンドセレクション最高金賞を受賞」など品質(スペック)を謳っていました。

これは、いわばメーカー(送り手)視点。確かに、品質にこだわって作ったビールなので発想としてはよくわかります。しかし、メーカーが思ったほどのヒットになりませんでした。まさに、「品質がいいもの=売れる」とは限りません。

そこで、宣伝方法をメーカー(送り手)視点ではなく、消費者(受け手)視点に切り替えました。

宣伝コピーを「最高の品質」から、「最高金賞のビールで、最高の週末を」にしてから売れはじめたのです。

自分にとっての特別感がこころを動かす

メーカー側からすると最高品質を言いたいのですが、消費者にとっては「旨いビールを呑んでどう過ごしたいか?」が大切であって、商品のスペック(機能)を言われても響かないのです。

普通の人にとっては忙しい日々の中で、週末くらいはちょっと贅沢なビールを呑んで自宅でのんびりと過ごしたい。
自分へのご褒美としてささやかな思いを連想させることで、ザ・プレミアム・モルツに手が伸びたんでしょうね。この広告が出てから、大ブレイクしていきました。

消費者の頭の中に、「週末、頑張った自分へのご褒美ビール」というポジションをつくりあげました。まさに商品の機能(品質)ではなく、消費者のこころをみごとに揺さぶったのです。

人は、こころを揺さぶられることで行動を起こします。
つまり、品質というスペック(機能)だけではこころが動かないのです。
(商品特性によっては、機能が最も重要な場合もあります。)

訴求ポイントは機能的価値だけでなく、情緒(感情)的価値を考えることで、ブランドの価値&ポジションが決まってきます。


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