ブランドの入口。パッケージには体験設計が欠かせない
公開日:2026年01月16日(金)|マーケティング

良い商品なのに選ばれない。その原因は箱にあるかもしれない
<Xでシェア> <Facebookでシェア>パッケージには、体験設計が欠かせません。
なぜならパッケージは、商品を「説明するもの」ではなく、ブランドとユーザーが初めて対話する “体験の舞台” だからです。
ブランド体験が設計されていないパッケージは、価格比較の土俵に引きずり込まれ、設計されたパッケージは意味と記憶を残します。
ブランド体験の役割とは?
1. 人は「性能」ではなく「体験」で意味づけする
行動経済学・神経科学の知見では、人の意思決定は論理より先に感情が動くことが示されています。
パッケージは、購入前後で必ず触れる「感情の入口」です。
- 手に取ったときの重さ
- 開けるまでの “間”
- 開封時の音・抵抗・視線の導線
これらはすべて、無意識下でブランドの格を判断させる情報です。
2. 体験設計されたパッケージは「価格競争」から離脱できる
代表例が Apple と Tiffany & Co. です。
両社のパッケージは、機能説明ではなく、
- アップル:未来に触れる “儀式”
- ティファニー:贈与と約束の “象徴”
という体験の意味づけがなされています。
その結果、ユーザーは価格ではなく「物語」で納得して購入します。
3. パッケージ体験は「広告費の代替資産」になる
推測ですがD2Cや高付加価値BtoBにおいて、開封体験=SNS拡散・記憶定着・再購入動機として機能しています。
つまり、
体験設計されたパッケージは「一度きりのコスト」ではなく、繰り返し効くブランド資産になります。
率直な指摘として
もしパッケージを
「最後に決めるもの」
「中身を守るためのコスト」
と考えているなら、それは明確なブランド毀損です。
パッケージは、ブランドの思想を “体験として翻訳する最前線” です。
体験設計されたパッケージは「一度きりのコスト」ではなく、繰り返し効くブランド資産になります。

パッケージを見て触って、そのブランドに対する期待感や高揚感、ワクワク、ドキドキを感じて欲しい
パッケージ/貼り箱は「見て・触った瞬間」に、期待感・高揚感・ワクワク・ドキドキを立ち上げるための “感情装置” であるべきです。
この感情が立ち上がった時点で、ユーザーの中では「これは、きっと良いブランドだ」という前向きな確信が生まれています。
1. 期待感は「開ける前」に8割が決まる
人は商品そのものを見る前に、
- 視覚(佇まい・色・余白)
- 触覚(重さ・硬さ・温度・質感)
によって、価値の仮説を無意識に立てています。
つまり、パッケージに触れた瞬間、すでに評価は始まっています。
この時に生まれる
「なんだか良さそう」
「大切に扱われている感じがする」
という感情こそが、ブランドへの期待値の土台です。
2. ワクワク・ドキドキは「制御された不確実性」から生まれる
高揚感は、情報を一気に見せたときには生まれません。
- すぐ開かない構造
- 中身が一瞬で見えない設計
- 開封時の“間”や“抵抗”
これらはすべて、感情の溜めをつくる装置です。
ワクワクとは、「まだ全部は見えていない」という状態そのものです。
3. 感情が動いたブランドは、記憶に残る
推測ですが、人は
「良い商品だった」より
「開ける瞬間、ちょっとドキッとした」
という体験の方を、長く覚えています。
つまりパッケージ体験は、ブランドを “思い出せる存在” に変えるための記憶装置です。
もし「中身が良ければ箱は普通でいい」と考えている経営者がいるなら、それは半分正しく、半分致命的に間違いです。
なぜなら、中身の良さは「使った後」にしか分からない。
しかし、期待感は「触った瞬間」に決まるからです。
あなたが、本当に目指すのは箱を見た瞬間に
「これ、きっと間違いない」
と、ユーザーの心が一歩前に出る状態をつくること。
ここまで設計して、はじめてパッケージはブランドの入口になります。
「このブランドはどんなものなのか?」という問いに、パッケージだけで “直感的に答えられる状態” をつくること。それが、ブランドが目指しているパッケージの本質です。
言い換えるなら、説明しなくても、触れた瞬間に “ブランド人格” が伝わる箱。
それが理想です。

ユーザーがパッケージをどう感じるのか?
1. 人はまず「このブランド、信用できそうか?」を判断している
ユーザーはパッケージを見た瞬間、無意識にこう問いかけています。
- 雑なのか、丁寧なのか
- 軽いのか、覚悟があるのか
- 流行り物か、長く続くものか
これは商品の評価ではなく、ブランドの評価です。
パッケージは、その第一審査官です。
2. パッケージは「ブランドの自己紹介」である
ブランドが言葉で語る前に、パッケージはこう語っています。
- この会社は、どこに美意識を置いているのか
- 何を大切にし、何を削ぎ落としているのか
- 誰に向けて、どんな距離感で話しかけているのか
つまりパッケージ/パッケージデザインとは、ブランドの価値観・姿勢・温度感を可視化したものです。
3. 正しく設計されたパッケージは「選別装置」になる
良いパッケージは、全員に好かれようとしません。
- 「これは、自分向けだ」と感じる人
- 「これは、違うな」と静かに離れる人
この分離が起きている時点で、ブランドはもう価格競争から一歩抜け出しています。
もし、体験設計ができていないと
パッケージを見て、「なんか良さそうだけど、結局どんな会社かわからない」と思われるなら、それは体験設計がまだできていない状態です。あなたが本当にやりたいのは、ロゴやコピーを読ませることではないはずです。
箱に触れただけで、「あ、このブランド、こういう姿勢なんだな」と腑に落ちる状態。
この箱は、“どんな人間がこのブランドをやっているのか” 伝えられていますか?
ここまで届いたとき、パッケージは単なる外装ではなくブランドそのものになります。
それこそが、私たちパッケージコンセプターとしての役目なのです。
※ブランドの意思を“翻訳”するパッケージコンセプターという仕事
著者:村上紙器工業所 代表 村上 誠
大阪で三代続く貼り箱製造業を営み、パッケージを通してブランド価値を設計するパッケージコンセプター。▶︎ 著者プロフィールを見る
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