商品パッケージの企画に注意する点は?
公開日:2025年09月02日(火)|デザイン

包装以上の価値をつくる
ブランド体験としてのパッケージとは
商品パッケージ/パッケージデザインを企画する際に注意すべきポイントは、機能性・訴求力・コスト・ブランド整合性・法規制対応など多岐にわたります。
企業からすると自社商品/製品のパッケージを企画するとき、どうしてもコストを気にします。良いパッケージを作りたいけど、高いと利益を圧迫するし商品価格に対してコストが掛かりすぎる。という考え方が、頭にこびりついています。
企画担当者からすると、いいパッケージだけど高コストだと上司がOKをくれない。よくある話ですね。それは、パッケージを「包装資材」としてしか見ていないからです。
包むことでブランドを語る—パッケージを資産に変える発想
ここでは、包装資材とは別の視点でみてみましょう。
より経営の視点で見ると、今までとは別の景色が見えてきます。
それは、パッケージが持つ意味です。機能的にみると商品を「包む、保護する、運ぶ」ですが、マーケティングの視点「情緒的価値」で考えると、それは売上と利益、そしてブランド価値やブランド体験を生み出すものとしての大きな価値があります。
パッケージをコストと考えた時点で、それは消耗される存在になります。
しかし売上と利益、そしてブランド価値やブランド体験を生み出すものとみると、消耗ではなくブランド/企業の資産価値を創り出すのです。

ターゲットに響く、売れるパッケージ設計の基本
1. ブランドと顧客体験の観点
- ブランドアイデンティティの一貫性
ロゴ・色・フォント・トーンなど、ブランドの「核」が崩れないように統一性を保つ。 - 顧客接点としての役割
パッケージは「最初に触れるブランド体験」。開封体験や手触り、開けやすさも含めてブランドの印象を左右する。 - 差別化要素の明確化
店頭やECサイトで「一目でわかる」「手に取りたくなる」要素を設計する。
特に「顧客接点」は、大きな視点です。
お客様が商品を購入し家に持ち帰る、もしくはネット通販で購入したとき。商品を取り出すのに、その最初の接点(顧客接点)は、パッケージです。パッケージを見て触って、開封して商品を取り出す。これらの一連の行為がすべてブランド体験になるのです。
アップルは、感情的価値の創出に投資している
アップルのiPhone箱やティファニーのブルーボックスなどの開封体験(英語でUnboxing:開封の儀といいます)は、その典型的な例です。これら一連の行為が、ブランドとの大切な接点であり開封そのものが一つの儀式といえるのです。
ちなみにiPhone箱のUnboxing映像が、全世界で数十万件以上ネット上にアップされていると言われます。それだけ、アップルファンからすると単なる商品の取り出しではなく、開封行為そのものがワクワクする体験なのです。
(参 考)
単なる「入れ物」ではない。Macの“外箱”に秘められた「究極のブランド体験」とは?(Mac Fan Portalより)
2. デザインと機能性の観点
- 視認性・可読性
商品名・特徴・使用方法が一目で理解できるか。文字サイズやレイアウトも重要。 - 使いやすさ・開けやすさ
消費者にとってストレスがない構造設計。再封性や持ち運びやすさも検討する。 - 保護性能
中身をしっかり守り、輸送や保管時に破損しない耐久性があること。
コスト抑制ではなく投資視点—パッケージで利益を創る
3. コストと経営戦略の観点
- 原価管理とROI
材料費・加工費が利益率に与える影響を試算。単なるコストではなく「ブランド投資」として回収できるかを考える。 - ロットと在庫リスク
生産数量や在庫保管の効率を踏まえた設計にする。小ロット多品種か、大ロットでコスト削減か。 - 価格戦略との整合性
パッケージが商品の価格レンジと釣り合っているか。安すぎても高すぎても違和感が生まれる。
単なるコスト視点だといかに抑えるかを考えますが、パッケージによってブランドの世界観を伝えることができれば、それは売上と利益増に直結します。ブランド価値そのものを向上させることが出来るのです。
そうなると費用(コスト)ではなく、利益を生み出す「資産価値」が生まれるのです。
(参 考)パッケージのリブランディングで、売上が数億円アップした事例
パッケージデザインは、ブランドイメージを売っている

使いやすさと感動を両立—パッケージが果たす “接点” の設計
4. マーケティング・販売戦略の観点
- ターゲットに響く表現
高級志向なのか、安心感重視なのか、可愛さ・遊び心なのか。ターゲット層に合ったトーンを設定。 - 販路に応じた最適化
店頭販売なら棚での見栄え、ECなら配送時の耐久性や開封体験を重視する。 - ストーリーテリング
パッケージにブランドの哲学や商品の背景を込めることで、感情的価値を高められる。
5. 法規制・環境対応の観点
- 表示義務の確認
食品・化粧品などは法律で表示が義務付けられている項目(成分・アレルゲン・賞味期限等)がある。 - 環境配慮・サステナブル対応
プラスチック削減、リサイクル素材の利用、簡易包装など。SDGsや消費者意識に対応する。 - 廃棄性・リサイクル性
捨てやすさ、分別しやすさも消費者の評価に直結。
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