ティファニーの箱が捨てられない理由?
公開日:2025年10月13日(月)|ブランディング
捨てられない箱 ― ティファニーのパッケージが語る「感情のデザイン」
感情を包むデザイン ― 捨てられない箱に秘められたブランド戦略

“捨てられない” という体験設計がブランドを育てる
あなたは、ティファニーの箱(ブルーボックス)を捨てられますか?
ほとんどの人が、答えは「NO」でしょう。
それは単に高級だからではありません。あの小さなブルーの箱には、「感情」「記憶」「象徴」という、目に見えない価値が詰まっているのです。
贈る瞬間を、儀式に変える箱
ティファニーの箱は、贈り物を包むだけの包装資材ではありません。
あの「ティファニーブルー」と呼ばれる色、白いリボン、蓋を開けるときのわずかな抵抗…。
すべてが計算された “体験設計” です。
人はその瞬間、心拍が上がり、呼吸を止め、そして微笑む。
この感情の起伏こそが、ブランド体験の核。
つまり、ティファニーの箱は「贈る」という行為を、ひとつの儀式に変える装置なのです。
証明書のように、記憶を封じる
人が箱を取っておくのは、それが「本物である証明」だからです。
パッケージは単に商品を守るだけでなく、「その瞬間に確かにあった感情」を証明する役割を果たします。
誰かに贈られた、あるいは自分へのご褒美に選んだ。
その記憶を呼び覚ますスイッチとして、パッケージは存在し続けます。
だからこそ、パッケージを捨てることは、記憶を手放すような気がしてしまうのです。
物語を包む箱 ― 捨てられない理由の心理設計

色と質感がつくる “感情の記号”
ティファニーブルーは、単なる企業カラーではなく「幸福の色」として世界に記憶されています。
ブランドが “色” をここまで強く印象づけるには、時間と一貫性が必要です。
光の下での再現性、紙のマット感、リボンの白との対比…。
これらの要素が整って、初めて「ひと目でティファニー」と認識される。
つまり、色・質感・触感のすべてが、ブランドの意思を伝える言語なのです。
捨てられない箱には、物語がある
本当に価値ある箱は、“開けた瞬間に物語が始まり、閉じたあとにも余韻が残る”。
そのためには、五感に訴える要素が必要です。
・開けるときの音(スッ〜と開く心地よさ)
・指先に伝わる紙の凹凸
・蓋の重み、空気の抜ける感覚
それらが「感情の手がかり」になり、心に残る。
つまり捨てられない箱とは、「感情をデザインした箱」なのです。
あなたの箱は、 “捨てられない” 存在になっていますか?

ブランドにとっての「捨てられない箱」の価値
人が箱を取っておくということは、ブランドが家庭や日常に “居場所” を得たということ。
家の中で何度も目に触れることで、無意識のうちにブランドが再想起されます。
それは、広告を出さずにブランドを思い出させる最強のリマインダー(※)。
つまり、ティファニーのパッケージは「沈黙の広告塔」でもあるのです。
※ブランドを思い出させる強力なリマインダーとは、感情的なつながりと一貫性のある反復です。特定の感覚や感情とブランドが結びつくことで、記憶に深く刻まれます。
さらに、箱が美しく保管されるということは、
「次にまた贈りたい」「同じ体験をしたい」という欲求を自然に喚起します。
箱は、再購入やブランド忠誠度を高める “記憶のインターフェース” 。
まさに、感情資産を育てる経営の道具なのです。
結論:記憶を包む箱をつくる
ティファニーのパッケージが教えてくれるのは、「箱とはただの商品の入れ物ではなく、感情の容れ物である」ということ。
捨てられない箱は、人の心に残る。
そしてその “残る” という事実が、最大の「ブランド資産:ブランド・エクイティ」になる。
あなたのパッケージは、商品を守っていますか?
それとも、「ブランドの記憶」を守っていますか?
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