第六話。「文創りのエチュード」〜貼箱×放送作家〜

公開日:2010年9月5日(日)|お知らせ

8月31日から始まったコラボ企画「貼箱 × 放送作家」シリーズの第六話。

舞台脚本、テレビの構成台本、小説など、幅広く活動されている松尾成美さんが主宰する文章教室の生徒さんに、「貼箱」をネタに「エッセイ」または「フィクション」を書いていただき、弊社サイト上に掲載するという企画です。

1日1話づつ、7人の方による計7話の連続掲載を致します。
文章教室【奈良の学園前 アートサロン空】の生徒の皆さんの力作を、どうぞご堪能ください。

宜しくお願い致します。

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 ※使用箱:剃刀ケース(詳細は、こちらをご覧ください。)

<エッセイ>

人も物も、中身なのだが・・・
                                        
                                     菅原 哲夫

『人は見かけが九割』
「何だ、それ?」
本のタイトルを見て、思わずムッカときた。買いも読みもしなかったが、世の中結構売れたらしい。
こんな本が出るほどだから、最近の若い男性には化粧品を買い求めては、顔やら体やらの手入れにいそしむ者もいると聞いた。人の評価は「中身が九割、見かけが一割」の間違いではないか。中身が空っぽなのに外見ばかりチャラチャラしてもしょうがなかろう。
でもこれは、還暦を過ぎた男の、もはや外見に自信が無いことのひがみだろう、と揶揄されるのがオチかもしれない。加えて、ではどれほどの中身がありや、と問われると、途端に口ごもってしまいそうでもある。
だがこれとて、ちゃんと客観的自己評価ができるからであり、謙虚に自身の研鑽には努めているのだ。
とにかく、外見よりは中身が肝心で、見かけなど、他人に不快感を与えなければそれでいいのだ。
人はそれでいい。だが商品の場合はどうか。
海外からの帰国時、免税の高級ウイスキーを買い求めた事があった。洒落た陶器のボトルが目を惹いた。
飲みきった後、安物の国産ウイスキーを入れ、飲んでみた。実に変だった。厳かな刻印が付いたボトルから、グラスに注いで飲むそれは、誤魔化しようもなく安ウイスキーの味だった。当たり前である。外見が立派だからこそ、その落差がはっきり感じられた。
機会があって、優雅な気品の漂う、丁寧な手作りの「貼箱」なるものを目にした。手にとってしみじみ眺めてもみた。落ち着いたブルーの模様で、一見、紙製品とは思えぬ程の存在感があった。
特別なプレゼント用のその「貼箱」には、選び抜かれた特製の逸品が収められるとも聞いた。
こうなると、中身とそれを入れる器は、かなりの緊張関係を強いられそうだ。外見にしか過ぎない入れ物は、中の品と調和が取れていなければ、ミスマッチであり、滑稽にさえなってしまう。あくまで中身が主人公であって、器は決して主役に躍り出てはいけない。わき役、いやもっと控え目に、いぶし銀の黒子を要求されるかもしれない。決して出しゃばらず、しかし確実にインパクトのあるメッセージを伝える。難しい役どころだ。
この辺の駆け引きは、なかなか興味深いものがある。
呑ん兵衛の私は、趣のある器に、静かに眠る名酒に出会ったなら、入れ物を愛で、その優雅な味を舌に転がし、気に入った本を「つまみ読み」でもしながら、中身の研鑽にこれ努める。きっと至福の時になるはずだ。

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