コンパクト和包丁、モダンな化粧箱/パッケージ
公開日:2011年08月22日(月)
伝統 × モダン ― 包丁の価値観を高めるパッケージ設計
<Xでシェア> <Facebookでシェア>刃物では日本の三大産地(大阪府堺市、新潟県三条市、岐阜県関市)の一つ、およそ600年の歴史を持つ大阪の堺打刃物。プロの料理人の包丁では全国シェア90パーセント以上という、正にプロ御用達の和包丁の産地であります。
製造工程は大きく分けて「鍛冶」「研ぎ」「柄付け」の3工程あり、各々の職人が専門の技術をもって生産する分業制です。

箱が語る、堺刃物の美学 ― 体験価値をつくるパッケージ戦略
その堺刃物をつくる工房の三代目の方からのご依頼で、作らせていただいた和包丁のパッケージです。
元来、和包丁の世界は、歴史がある=保守的な業界です。
以前にも、包丁メーカーさんからパッケージの相談を受けたことがありましたが、結局その方は新しいことに踏み切れませんんでした。
今回、この三代目さんは「業界に、一石を投じる!」という覚悟もあり、一緒に考えていきました。
実はこの方、実家を継がれたのはまだ一年ほど前で、それまで10年以上家業とは全く違う業界におられました。その当たりは、私とよく似ています(笑)。
だからこそ、業界の常識に違和感を感じるのです。その業界しか知らないと「当り前」のことでも、外から入ってくるとすごく違和感を覚えることがよくあります。
作り手の心が使う人に伝わる「持って温もり、使って親しみ」を心掛け、先代より引き継いだ伝統を守られています。

歴史ある職人技を未来に語り継ぐ ― ブランド体験としての箱
この和包丁は、一人暮らしの方などキッチンの狭い家庭・普段そんなに料理をしないが、本物の良い道具にこだわる方をコンセプトに、デザイナーとコラボし開発した商品です。
刃材は、「ハイス鋼」を使用。
刃物材で最も優れていると考えられる鋼材の一つ。もともとは金属を加工するための鋼であるため、非常に硬度があります。
独特の形状の柄には、高級木材の「黒檀」(カキノキ科カキノキ属の常緑広葉樹。古くから銘木として知られている木材で生育が遅いため希少価値が高い木材。硬く重いため加工が困難ですが、耐久性に非常に優れています。)を使用し、握った瞬間に手にフィットするようにデザインされています。
そして、「両刃研ぎ」の技術です。
両刃研ぎはヨーロッパなどで主流になっている、刃の両面を均等に削る研ぎ方です。コンマ数ミリで切れ味が変わるため、両刃研ぎを極めるには熟練の技が必要です。
現在、堺で両刃研ぎができる職人は数名だと言われているそうです。

ブランドの未来を開く ― モダンなパッケージがつづく体験を創る
包丁のパッケージには、結構「貼箱」が使われているのですが、昔ながらの極一般的なもので単価も安く、デザインされた感も全くないものが殆どです。
そこでこの新たなブランドにふさわしい、パッケージが求められました。
形式は、貼箱としてはシンプルな「C式(かぶせフタ式)」。
内装はウレタンを使用して柄の部分を固定させて、刃が全面見えるように視認性を高めています。
そして何より、箱の内貼りに鮮やかなオレンジを着飾りました。
和包丁のパッケージとしては新鮮かつ、ちょっと大胆な色づかいです。
フタの外と内に「YAUCHI」のロゴ、そして「Made in Sakai」の文字。
大阪・堺から、発信される「伝統を破り、伝統を守った、堺刃物の新しいカタチ」。
そしてそれに見合う、新しいカタチの貼箱。
一緒に、伝統を創っていって欲しいものです。
<お問い合わせ>は、こちらのページへ。
<目的から作例を探す>は、こちらのページへ。
<作例を写真で探す>は、こちらのページへ。
<お客様インタビュー>は、こちらのページへ。
<クリエイターズネットワーク>は、こちらのページへ。
関連記事:
パッケージからはじまるブランディング、高級和包丁ブランド





和包丁製作の現場です。
こちらは、刃の「研ぎ」が専門です。





撮影:EOS 6D + EF24-70/4L
Photo by Makoto Murakami
著者:村上紙器工業所 代表 村上 誠
大阪で三代続く貼り箱製造業を営み、パッケージを通してブランド価値を設計するパッケージコンセプター。
▶︎ 著者プロフィールを見る
※写真をクリックで拡大、矢印キー(◀▶)で写真がスライドします。
当サイトに掲載されている写真の著作権は、村上紙器工業所および作品の作者にあります。
許可なく写真の転載をすることはできません。
写真の掲載を希望される方は、事前にご連絡下さい。
