◎村上紙器工業所
クリエイターズネットワーク」シリーズ 3

村上紙器工業所の仲間であり友でもある、素敵なクリエイターたちをご紹介します。仕事上のパートナーであるだけでなく、公私にわたって刺激しあえる彼らの存在が、さまざまな糧となり支えとなってくれています。

クリエイターズネットワーク #3:浪本浩一氏

株式会社ランデザイン
浪本浩一氏

村上紙器工業所の仲間であり友でもある、素敵なクリエイターたちをご紹介します。じぶん(自社)をセルフプロデュースすることからはじまり、ブランドという言葉に出会い、クリエイターとの接点を広げていこうとしたことが、いまの村上紙器工業所のポジショニングをつくっていったと言えます。

出会ったのは、デザイナーの芦谷さんの紹介からですよね。(村上)

 2007年だったと思いますが、DRIVEの芦谷さんがやっていた「下請けメーカーにならないためのブランディング入門セミナー」に参加したんです。そこで、「メビックというところがあって、クリエイターがたくさん集まってくるから村上さんも来たらどう」と、誘われたんです。(村上)

 わたしの会社ランデザインは、2005年から水道局時代のメビックのインキュベーションオフィスに入居していました。ほどなく芦谷さんから村上さんを紹介していただいて、そのときちょうど企画していた展示会に協力していただけないかと願い出たんです。いろんなデザイナーがモノをデザインして出展する展示会だったんですが、そこでの展示物にご協力していただいたんです。(浪本)

貼箱の展示
リバティ生地を使った貼箱と嘉戸浩氏(かみ添)の唐紙を使った貼箱。いずれも村上紙器と浪本さんとの実験的作品

 そうでしたね。芦谷さんという方は早くからブランディングに精通していたり、デザインをオーダーできるペーパーバッグの通販事業を起こして大成功されたり、先見の明がある方なんですよね。そんな芦谷さんのひと言から、メビックで浪本さんと出会ったわけです。(村上)

村上紙器のクリエイティブ元年と言えますね。(浪本)

 そのときわたしと出会ったのは、必然だったのか、偶然だったのか。どうなんでしょうねえ?(笑)(浪本)

必然だったことにしときましょう!わたしがはじめて、自社の制作物をクリエイターに依頼するこ 必然だったことにしときましょう!わたしがはじめて、自社の制作物をクリエイターに依頼することになったのが浪本さんなんですから。違う方と出会っていたら、いまごろ別の展開になっていたかもしれませんもんね。(村上)
 その方が、良かったかもですよ。(浪本)
 ワハ、ハ、ハ、ハ、ハ、ハ、ハ。(2人)

ランデザイン、浪本浩一氏

あれはリーマンショックの年でした。(村上)

2008年にリーマンショックがあって、次の年は世界的に経済事情がドーンと悪化するだろうと言われていました。うちも、なんとなく不景気がやってきそうな予感がありました。それでホームページをち 2008年にリーマンショックがあって、次の年は世界的に経済事情がドーンと悪化するだろうと言われていました。うちも、なんとなく不景気がやってきそうな予感がありました。それでホームページをちゃんとしとかないと営業的にもダメだろうなあと、思ったんですよ。なにせお金もなかったですから、最初はHTMLコードを書いて、じぶんでつくっていました。だから、手づくり感満載でしたねえ。ちゃんとするからにはプロに頼もうと思い切ったんです。清水の舞台から飛び降りて、骨折しそうになりました(笑)。(村上)
 いまのホームページの前身ができあがったわけですね(浪本)
 まわりの製造業の仲間からは、そのホームページを見て「カッコつけてる」と、言われましたもん。(村上)

村上紙器工業所、村上誠

そのときに思ったのは、メーカーやデザイナーから声がかかるようにしたいということでした。(浪本)

 製造業の仲間たちは商売のターゲットじゃないから気にしなくても、いいです。HPの相談をされたときに考えたのは、“下請け(パッケージ業者さんからの受注)”ではなく、メーカーやデザイナーから声がかかるようなHPにすることでした。そのように企画したわけですから、そのネライが達成できたということでしょう。(浪本)

ランデザイン、浪本浩一氏

わたしがHPをデザインさせてもらって、ロゴと名刺はmareの牧野さんですよね。(浪本)

 村上さんが自社のものをクリエイターに依頼した最初のケースは、HPの企画とデザインがわたし、ロゴと名刺は牧野さんでしたよね。(浪本)
 ヴィジュアル計画mareの牧野さんとは、浪本さんが企画した「貼箱製作ワークショップ」に参加されたことで知り合ったんです。そのときにお渡ししたわたしの名刺にはロゴがなかったんです。それを見て牧野さんが「ロゴをつくらせて欲しい」と、言ってくれたんです。ウチは小さい会社なので、ロゴをつくろうなどとは夢にも思ってなかったのです。村上紙器工業所という名前が、まさかあんなカッコいいロゴになるとは思ってもいませんでした。(村上)

貼箱製作ワークショップでの牧野さん
2008年 貼箱製作ワークショップでの牧野さん

HPのリニューアルをきっかけに、ブログを書き始めました。(村上)

パッケージの仕事は事例を出せないものも多いんです。それなら文字で伝えていこうと、ブログを書き始めました。とにかく情報発信の必要性を強く感じていたので、シロウト目線でいろいろ書きまし パッケージの仕事は事例を出せないものも多いんです。それなら文字で伝えていこうと、ブログを書き始めました。とにかく情報発信の必要性を強く感じていたので、シロウト目線でいろいろ書きました。ブランドのセミナーで吸収したことの受け売りであろうがなんだろうが、いまじぶんが世の中に言うべきことを熱く書きまくったわけです。(村上)
 ブランディングという同業他社にはない、村上さん独自の発信が重なって行って、HPはどんどん充実していきましたよね。それは、成果としてとても良かったと思います。こんなHPを持っている製造業はないですもん。(浪本)
 特殊ですかねえ?(村上)
 ヘンタイ的とも言えますね(笑)。(浪本)

ランデザイン、浪本浩一氏

わたしはモノづくりの勉強会をたくさん企画していました。(浪本)

 そのころのわたしは、デザイナーとモノづくりのひとの接点をつくる目的で「モノづくりを体験する会」をたくさん企画していました。モノづくりの勉強会ですね。面白そうな方に声をかけて、クリエイターとモノづくりのひとの輪を広げてきました。(浪本)
 モノづくりのひととクリエイターの接点はなかったですもんねえ。(村上)

メビックでの出会いが、いまにつながっています。(村上

わたしはと言うと、せっせとメビックに通ってクリエイターとの出会いを広げていました。クリエイティブのチカラを取り込むことに夢中でしたね。フツーの製造業では、そんな動きはしないですもんねえ。おかげでと言うべきか、同業者から工場見学の依頼があるんですよ。不思議でしょ?よほど特殊にわたしはと言うと、せっせとメビックに通ってクリエイターとの出会いを広げていました。クリエイティブのチカラを取り込むことに夢中でしたね。フツーの製造業では、そんな動きはしないですもんねえ。おかげでと言うべきか、同業者から工場見学の依頼があるんですよ。不思議でしょ?よほど特殊に見えているんでしょうね。年にひと組くらいですけど、見せたくないのに見せています(笑)。(村上)
 それと、村上さんやヘラ絞りの吉持さん、アルマイトの桐島さんなんかと付き合っていて良いなあと思うのは、クリエイターからの実験的な依頼にも積極的に協力されているところですね。(浪本)
 クリエイターからの挑戦しがいのあるお誘いは「やっとくべし!」と思っています。少しずつモノづくりのひとにも、そういう風潮が高まってきていると感じています。(村上)

吉持さん、浪本さん、芦谷さん、村上
左から吉持さん、浪本さん、芦谷さんと私(村上)2017年

吉持製作所 https://yosimoti.com
DENKEN https://denken-alumite.jp

田中有史さんと知り合ってキャッチフレーズができました。(村上)

 メビックの「コラボ集」でも取り上げられましたけど、メビックでのセミナーを受講した田中有史さんが工場見学に来てくれて、あれよあれよという間に、うちのキャッチフレーズができちゃったんです。できちゃった婚ですね、あれは(笑)。(村上)
 わたしも産みの場に立ち会っていましたが、衝撃的でした。でも、あの言葉ができたことで、村上紙器工業所の考え方がハッキリしましたね。より、他社との差が明快になったと思います。村上さんが書きまくってきたことに対して、「本のタイトル」のような役目を果たしてくれていますもんね。差異化の極みじゃないでしょうか。言葉のチカラって、すごいですよね。(浪本)

意思を運ぶ箱

 うちのHPを見た方で、「あのキャッチフレーズにビビンっと来て、頼むのはここしかないと思いました」という方が訪ねてこられましたもんねえ。余談ですが、キャッチフレーズを名刺にもデザインしてもらったことで、ブランドイメージができていっていますもんね。(村上)
 それが、ブランディングじゃないですか!田中さんとわたしがやらせてもらっている「お客さまインタビュー」シリーズも、村上紙器工業所の仕事の進め方がよくわかり、ブランディングに寄与していると思います。(浪本)

Mebicコラボ事例集2020 https://www.mebic.com/collabo/case-94.html(ある日、コピーライター田中有史が、町工場のキャッチコピーを勝手に作った件)

そして福井さんの仕事で初めてパッケージの仕事を依頼することになりました。(村上)

 浪本さんにパッケージを仕事として依頼したのは、福井さんの「HADO」がはじめてですね。あれは田中さんにも加わってもらってコンセプトからやりました。うちとしてはクリエイターにパッケージの仕事を依頼したのは、末川さんとの仕事に次いで2件目です。
クリエイターとの人脈はあるので、いざというときにはネーミングやデザインまでトータルに受けることができるのは、ヨソにはできないうちだけの売りモノだと思っています。
「HADO」のような本格的なブランディングの仕事ははじめてでしたが、田中さんと浪本さんのアプローチは末川さんとまったく違いましたね。こう言うやり方もあるんだと、知ることができました。(村上)

堺の和包丁、HADO
堺の和包丁、HADO

HADO https://hado-knife.jp
末川マキ子さん
https://www.hakoya.biz/creator/suekawa-DIVAcreative.html

ブランディングの仕事が来て、われわれにふってくれるようになると良いですね。(浪本)

 「HADO」の仕事は、非常に面白かったです。良い体験をさせていただきました。いまもなお進行形ですから、もっともっと良いブランドやプロジェクトになっていくよう貢献したいですね。今後、村上さんのところへブランディングの相談がきて、われわれにふってくれるパターンになっていけば広がりが生まれますね。(浪本)

ブランド、クリエイティブ、ソフトを売っていけるようになりたいです。(村上)

 そうですね。そうなっていけば理想ですね。クリエイターの方々とのいまの良い関係の中で、「HADO」みたいな事例を増やしていきたいです。そうやって、ブランド、クリエイティブ、ソフトを売っていきたいと思っています。どう発展できるかはわかりませんが、相手の企業にとってのプラスを増やすのが、うちの使命だと思います。(村上)
 勇気がいりますけど、いま言われたようなやり方でターゲットを絞るほど、逆に可能性が広がるんでしょうね。(浪本)
 製造業の感覚から、どんどん脱皮したいです!(村上)
 いくらものすごい技術があっても、顧客がどう思っているかという発想がなければ、ビジネスとしての広がりはありません。モノづくりの発想しかないと限界が見えます。(浪本)
 もっとビジネス感覚やマネジメント感覚を養っていきたいです。究極は企画料やディレクション料をとれるような製造業になりたいです。(村上)
 それには、いま以上にクリエイティブな発想をしていかないといけませんね。がんばりましょう!(浪本)
 以上が村上紙器工業所のクリエイティブの歴史でした。(笑)。(村上)

村上紙器工業所、村上誠

インタビュー&ライティング(田中有史:田中有史オフィス)
撮影&デザイン(浪本浩一:ランデザイン)
撮影(村上誠:村上紙器工業所)

株式会社ランデザイン

住所540-0037
大阪市中央区内平野町2-1-2 アイエスビル4C
TEL06-6484-9386
URLhttps://www.langdesign.jp/
代表者浪本浩一
事業概要企業や社会の課題を捉え、デザインと文字表現を軸にさまざまなツールや活動を通して課題解決しながら、未来への道筋を創造しています。

公開日:2021年09月27日(月)

※掲載内容は取材時の情報に基づいています。

「クリエイターズネットワーク」シリーズ

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