「コンセプトって、こういうこと」

 広告や企画の現場だけではなく、コンセプトって仕事でも学校でもスポーツのシーンでも、けっこう頻繁に使われている言葉じゃないかしら。なのに、正確に説明するのは、なかなか難しい(でしょ?)。そんなコンセプトという言葉をできるだけやさしく解説してみました。これを読むとコンセプトは、“なんとなく分かっている”から、“ハッキリと分かっている”に変わりますよ(きっと!)。

コンセプトって、こういうこと「コンセプトの定義と役割」

【1コンセプトの定義】

コンセプトはなぜ必要なのだろう。

 ランボーに言えば、コンセプトなんかなくても良いのです。でも、なければ困る。「あるとき、ないとき」で、思考の結果がけっこう違ってくる。そこが、厄介なのです。コンセプトとは「What to say」つまり「なにを言うか」だといわれます。ホラ、最初に「なにを言うか」という方向性が決まっていないと、「どう言うか」という具体案は出てこないでしょ。

 コンセプトに対して表現や企画は「How to say」つまり「どう言うか」ということです。「なにを言うか」があるから「どう言うか」が出てくる。絵を描くにしても、写真を撮るにしても、言葉を考えるにしても、イベントなどを企画するにしても、会社の方向を決めるにしても…。「なにを言うか」がないと、「どう言うか」を考えられないですもんね。コンセプトとはなにを言うか、なにをやるかにあたります。コンセプトがないと、具体的なゴールへ行けないです。すべての表現や思考は、はじめにコンセプトありきなのです。

コンセプトは仮説である。

 どこにどんな穴を掘るのか。言い換えると、コンセプトとはそうことなんです。どこにどんな穴を掘るかが決まらないと、どう掘るかは決まりません。どう掘るかが決まり、穴を掘る道具、穴のカタチ、穴のサイズや深さなどが決まっていきます。

 ここで気をつけたいのが、コンセプトはあくまでも仮説だということ。“こういう穴を掘ればいいんじゃないかな”という仮説です。だから、やってみないとわからない面が多々あります。

面白いコンセプトではなく、面白い結果を連れてくるコンセプト。

コンセプトはあくまでも、「仮にこうやるとどうだろう」という仮説です。だから、大げさに言えば無限に考えられます。ですからいっぱい仮説を考えて、状況を鑑みながら最適の仮説(最適解への入口)を見つけることが望まれます。

 仮説だから、実際に思考を進めてみると、うまく行かなかいこと、面白くならないことも多々あるものです。そのときは、スパッとそのコンセプトを諦める勇気を持ちましょう。いったん決めたコンセプトに固執するよりも、面白い結果を連れてくるコンセプトをチョイスし直したいものです。評価されるのはコンセプトの良し悪しではなく、あくまでも結果です。コンセプトの良し悪しを決めるのは、言語化された仮説の良し悪しではなく、あくまでも結果の良し悪しです。

【2コンセプトの役割】

コンセプトはスタート地点であり、途中のチェックポイントであり、ゴールでもある。

 1ではコンセプトとは「なにを言うか」、「どんな穴を掘るのか」だと、角度を変えて説明しました。つぎにこの章では、コンセプトの役割について説明します。「なにを言うのか」ということは、コンセプトとはものごとの「スタート地点」であるということです。コンセプトを決めることは、これから進んでいく方向を目ざしたスタート地点に立つということです。そこから、目ざすべきゴールに向かって進み出すわけです。

 そして、ここが肝心。スタート地点とゴール地点は同じであると気づいてください。スタート地点で目ざしていたところと到着したゴールが別であっては困ります。だからゴール後にスタート地点を振り返って、目ざしたところであったかを確認することを怠らないでください。

 つぎにもうひとつ大切なことを言います。スタートしてゴールに向かうプロセスには、いろいろな関門(考えを検証すべき地点)があるはずです。その関門のたびに、コンセプト(仮に決めたゴール)へちゃんと向かっているか、道を逸れていないかをいつもチェックしてほしいのです。コンセプトとはゴールに向かう道筋での「途中のチェックポイント」なのです(ここは大事です!)。そこを理解して、途中チェックを怠らなかったら、迷わずにゴールに向かうことができます。

 そして、先述したスタート地点とゴール地点が同じかどうかのチェックです。これでOKならば、あなたはブレないで思考できたということになります。この思考回路を“ロジカル・シンキング”と言います。これができるようになると、いつも決めたことからブレないで思考できるようになります。

つまり、コンセプトは最初から最後まで全体を貫く考え方であるということです。


 コンセプトはスタート地点から、いくつかの途中のチェックポイントを越えながらゴールに到着するまでを貫く考え方なのです。“一貫した”“貫く”考え方ということこそ、コンセプトの本質的な機能と言っても過言ではありません。これでコンセプトを理屈できたとしても、身につけるには先に述べたようなロジカル・シンキングを習慣づけてはじめて、理解したと言えるでしょう。受け売りのままでは、ひとに説明できるものにもなりません。がんばって、いつも気にしながら思考してください。

迷ったら(困ったら)、コンセプトに還ろう。

 ここまで読んでいただくと、コンセプトがロジカル・シンキングを進めるための舵であり、フィルターであることが分かると思います。なぜ舵になりフィルター機能になるかというと、コンセプトは主観ではなく客観であるからです。モノゴトを判断するうえで「客観判断」は、好き嫌い、面白い面白くないなどの主観(感覚論)に左右されません。だから、大切な判断基準(舵やフィルター)になります。

 最後に言いたいのは、道に迷ったときは、「コンセプトに還れ」ということです。道に迷ったような状況でグルグルと同じことばかり考えてしまって、思考の袋小路から出られないことがありませんか。そんなときは、はじめに還ろう。「迷ったら、コンセプトに還れ」という言葉を思い出してください。

 コンセプトの定義、役割、そして最後に迷ったときの脱出法までを説明しました。いかがでしたか。少しはコンセプトの理解が進みましたか。あなたの役に立てたら、うれしいです。

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