ブランディングって、こういうこと

村上紙器工業所がお届けする「ブランディングって、こういうこと」。5回シリーズの最終回になりました。皆さんのブランディング知識の向上に少しでもお役に立ちましたでしょうか。最終回は広告メディアを使うことが少ない中小企業のブランディングにとくに参考になる視点です。ここに気づくかどうかで、ブランディングの効果は大きく変わります。お読みになった感想や質問をぜひお寄せください。お返事をさしあげます。

欲しいのは広告ですか、広告効果ですか

 「広告」がどうも嫌われているかのように語られるようになったのは、いつころからでしょう。それは、オウンドメディア(自社が所有し発信できるメディア)と言われる自社サイトやSNSの隆盛と無関係ではありません。自社サイトだとつくっちゃえば発信にお金はかからないので(SNSもそうですね、お金はかかりません)、有料メディアを使った「広告」が悪者みたいに見えるのでしょう。

 でもね、ここで考えてみてください。正確には「広告」が嫌われているのではなく、“広告にお金がかかること”が嫌われているということだと思うのです。

あなたが欲しいのは広告効果でしょ?

 「広告」が欲しいのではなく「広告効果」が欲しい。このパラドックスに気づいているひとは案外少ないのではないでしょうか。ここに気づくと、目の前がパーッと明るく開けるはずです。

 「広告効果」って、なんでしょう。それには「広告」とは何かを考えてみましょう。「広告」の目的は単純です。“より多くのひとに伝える”というひと言に集約されます。だから、広く告げる。つまり、それこそが「広告」です。このとき、広告と聞いてどんなメディアを想起しますか?新聞や雑誌、テレビやラジオなどを思い浮かべる方が多いでしょう。いま揚げた4つのメディアは旧来マス4媒体と呼ばれたものです。これらのメディアは不特定多数に届く特性を持ち、これらのメディアを使った広告をマス広告と言います。  

 マスコミュニケーションとはマスメディアを使って不特定多数に情報を伝達することを言い、大衆伝達と訳せます。ただ、マス媒体を使った広告には多大なお金がかかります。だから、大きな企業以外には手が届きにくいものだったのです。(それは、いまでもですね)

広く告げる、イメージを売る

 広く告げることに加え、広告のもうひとつの役割は「イメージを売ること」です。あのブランドは安い、あのブランドは若者向け、あのブランドは高級品。このように、広告が売っているものはイメージだと言い切っても良いでしょう。イメージを確立することが“ブランドイメージを醸成する”ということです。これについてはシリーズ①「ブランドって、なに?」で述べていますので復習してください。

 次のシリーズ②「ブランドイメージは、どうやってできる」に書いたようにブランドイメージはいろんなところで出会ったイメージの総体がつくるものです。だから、なん度もなん度もブランドイメージと出会うようにコミュニケーションを設計する必要があります。なん度もなん度も出会うように仕組む前提として、シリーズ③で書いたように「錆びない考え方を持とう」ということが大切になります。そして、なん度もなん度もブランドイメージと出会うようにコミュニケーションを設計する考え方を支えるのがシリーズ④の「いろんなものがメディアになる」という視点です。(それぞれの回を読み直してみましょうね)

広告を広告たらしめているのはキャンペーン

 シリーズ④の「いろんなものがメディアになる」では新曲キャンペーンに例えてコミュニケーション設計のことを話しています。ここではコンタクトポイント(ブランドイメージに影響を与える生活者との接点)を有機的につなげていくことがイメージの総体をつくり、ブランドイメージの醸成には重要だということを述べました。

 その考え方を実行することで得られるのはまぎれもなく「広告効果」です。うちのような規模でキャンペーンなんかできるわけがないと考えないで、どうすればキャンペーンになるかを考えるべきです。

広告と広告効果

コンタクトポイントの中にはいろんなものがありますが、ここでは広告や販促分野のものだけではなく広くイメージしてみましょう。例えば名刺、封筒、チラシ、社用車、自社サイト。これくらいなら、小さな規模の会社でも使っているのではありませんか。それらをブランディングツールと見なしているか、ブランディングツールに取り込もうと企んでいるか、そこが大切なのです。

ブランド情報をのせることでメディアになる、コンタクトポイントの設計、キャンペーン効果を生み出す、広告効果が積み重なる

 もしブランディングをしたいと考えているなら(ブランディングがうまく行っていないと思っている方も)、いますぐ上述したように考えて、手持ちのコンタクトポイントを上手に使ってキャンペーンに仕立ててみることです。村上紙器工業所では「意思を運ぶ箱」というキャッチフレーズを、使えるコンタクトポイントにはすべて使っていくことである意味長い時間をかけてキャンペーンをしているわけです。いままで使っていたツールをブランディングツールに転化するだけでなく、必要に応じて新たなブランディングツールもコミュニケーション設計に加えて行っています。繰り返しになりますが、それができるのも「錆びない考え方(コピー/表現)」があるからなのです。

 今回はいままでのことを振り返りながら、広告をしないで広告効果を出すということをお話ししました。いかがでしょうか、5回にわたるシリーズがお役に立ちましたでしょうか。

拙文を読んでいただき、ありがとうございました。

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