クリエイティブって、こういうこと

英語の「クリエイティブ」は日本語で「創造的」と訳されます。「創造的」と聞くと、“クリエイターでもないじぶんには縁遠いこと”と、感じませんか。でもね、クリエイティブは「創造」ではなくて「工夫」なんですよ。ここでは、そんなスタンスで「クリエイティブ」を語っています。ほら、「工夫」と聞くと身近に感じるでしょ。
村上紙器工業所の「こういうことシリーズ」。
「ブランディング」「コミュニケーション」に続いて、「クリエイティブ」について語っています。さて、さて、最終回です。

理由のないクリエイティブはない。すべてのクリエイティブ(ここではアイデアの発想とします)な行為には理由があるのだ。最初に定義しましたが、すべてのクリエイティブは「小さな工夫」であり、「小さな工夫は工夫でもオリジナルな小さな工夫」であり、「そして、そのオリジナルな小さな工夫を続けていくこと」なんです。“オリジナルな小さな工夫”は、創意工夫と言っても良いですね。
理由もなく工夫するわけないじゃん。工夫に理由がないわけないじゃん。だって、工夫ってソリューション(課題の解決)のためのものですよね。あるいは、工夫とはソリューションそのものとも言えますね。

かなり昔に、「理由なき反抗」という映画があったけど、知っているひとはいるかな?理由のない反抗って、若さゆえのアナーキーさであり、ただただやるせないココロの反動だ。そこにソリューションがないことが若さであり、ファッションであり、衝動なのよね。ってことは、どうでも良くて(笑)。クリエイターを問題解決業と呼ぶことがあります。それは、「オリジナルな小さな工夫」で課題に答えを出しているからにほかなりません。その工夫には解決へと導くための“理由”が必ずある。「理由なき工夫」では、決してないということです。

「なぜに?」「なにを?」。

工夫とは「どうやって」という具体的なアイデアのことですね。でも、いきなり、「どうやって」というアイデアが浮かびますか。ここはロジカルに考えましょう。「なぜに」この課題を解決しなければならないのか。その課題の本質をしっかりと見つめ直しましょう。これは、課題を再定義するということでもあります。顕在化している課題をそのとおりに受け取ってしまうと表層的な解決しかできなかったりします。「なぜに」解決するのか、その本質が見えたら、次は課題の「なにを」解決するのかが考えやすくなります。理由と対象を明快にするということです。

たとえば、「会社のコンセプトを社員にもっと理解してほしい」という課題があったとしたら、「なぜに」は「理解させることで社員の成長に繋げたい」ということかもしれない。となると、解決の方法も変わりますよね。「なにを」はコンセプトそのものがよくないのではないかというところまで戻るかもしれない。あるいは、社員食堂に面白いポスターを貼れば良いのかもしれない。月曜日の朝礼ではなく、金曜日のランチ会をコンセプトについて話し合う場にした方が良いかもしれない。
「なぜに」と「なにを」が見えたら、アイデアも本質的なものに変わっていくものです。

逆もまた真なり。

 前章ではロジックな思考を説明しました。でも、経験則で「なぜに」や「なにを」も同時進行的に考えることだってできます。でも、それはあくまで経験がもたらす法則ということ。経験の浅いひとには勧められない方法かもしれません。いつも最初に「なぜに」と、「なにを」ありきでアイデアを考えていたら、自ずと思考プロセスの経験を積む。だから、経験則は身に付いていきます。そのうち同時進行的に考えられはずです。

同時進行とは違う思考プロセスもあります。結論(どうやって)から考えて、はじめ(なぜに、なにを)に戻る。逆発想というヤツです。これも、経験を積むことで可能になります。ある意味、同時進行よりも経験を必要とするかもしれませんが。

この場合、まず答え(どうやって)をたくさん考えてその中から最適解を選ぶ。そのとき「なぜに」「なにを」を明快にしながら、それをフィルターにして案を選ぶということです。このときどうして、「なぜに」や「なにを」まで遡ってアイデアをチョイスするのか。アイデア同士を比べると、いきおいや面白さに目がいきがち。そこで「なぜに」や「なにを」をフィルターにして、アイデアを客観的にチョイスするのである。この客観性が大事なのだ。主観で選ぶとややもすると、アイデアの面白さに引っ張られてしまい、本当に必要なアイデアを選べない。なんてことになりかねない。主観に惑わされて、ロジックを忘れてしまうのである。 

アイデアとロジックは両輪。

面白いアイデアでもロジックが成立していないと、どこが良いのか、なぜ良い結果につながるのかを説明できない。ロジックがなくて面白いだけでは合意形成できない。論理のエビデンスが必要だ。ロジックは理屈っぽい言葉を並べることではない。ロジックとは「面白がらせるチカラ」である。それに対してアイデアは「面白いチカラ」と言える。「面白いチカラ」と「面白がらせるチカラ」、この両方がないとクリエイティブ(オリジナルな小さな工夫)は成立しない。クリエイティブは思いつきではない。クリエイティブはイマジネーションと思っているひとがいるでしょうが、そういうことでは決してない。大いなる誤解である。ロジックがちゃんと成立する思考プロセスを意図的、経験則的に踏みながらクリエイテブなアイデアに辿り着いているのである。それが、「アイデアとロジック」という本稿の結論である。

今回の「クリエイティブって、なんだろう」はひとまず、これで最終回です。皆さんのお役に立つと、幸いです。
3回目を書いてみて、少し言い足りないことがある。そこで番外編として「クリエイティブは視点」というのを書いてみた。いわば、オマケである。こちらもぜひ読んでみてください。いいオマケが当たるかもですよ。

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