コミュニケーションって、こういうこと

コミュニケーションって、なんでしょう。ブランディングやコンセプトなどと同じで、わかっているようでも意外とわかっていない(説明しにくい)言葉のひとつかもしれませんね。このシリーズではコミュニケーションについて、コピーライターの経験と視点からわかりやすく解説します。

コミュニケーションを改善することで解決する課題は多い

 まず、お願いです。
読みはじめる前に、初回(シリーズ1)2回目(シリーズ2)を、おさらいのために読み返してください。
はじめて、このシリーズを読む方は初回から順に読んでくださいね。
そうすると、今回の話がわかりやすくなると思います。

それって、コミュニケーションの問題だよ。

 ってことに気がついていないひとは、ずいぶん多い。

「いろいろやっているけどぜんぜんブランディングできない」
「このチラシが効かないからもっとインパクトを出してほしい」
「商品は良いのにぜんぜん売れない」
「社員が会社のことをちゃんと理解していない」

 こんな声をよく耳にします。なぜ、ブランディングができないのでしょう?なぜ、チラシが効かないのでしょう?なぜ、売れないのでしょう?なぜ、社員に理解されないのでしょう?

 問題の本質は言葉の良し悪しやデザイン表現にあるのでしょうか。そうではありません。ここに例で挙げた問題はどれも、ちゃんとコミュニケーションできていないということに問題があります。

 ここで言うコミュニケーションとは、これまで述べてきたように「意思の通い合い」であり、「共感の共有」ということです。本当に届けるべきことを届けていない。考えていることを伝えられていない。届けた情報ではこころを動かすことができていない。「おっ、いいね!」と共感してもらえていない。つまり、コミュニケーションできていないというところに問題の本質があります。

 ブランディングできていないから表現を変えたいと発想するのではなく、表現以前のコンセプトに問題があるから目ざすようなブランディングができないと気づかない。そのことに問題が解決しない原因があるのです。もちろん、表現に問題もあるのでしょうが、「何をどこでどう伝えるか」ということにおいて「何」が間違っていれば、すべてのコミュニケーション設計が狂ってしまいますよね。それではいくら表現にこだわっても解決しません。コミュニケーションの素となる考え方を根本的に改善する必要にあるという状況なんです。

 ここでは、コンセプトはこんなブランドになりたいという仮説のゴールということですね。目標としているゴールが間違っているから思い通りのブランディングにならないのです。間違った目標をいくら追い求めてもじぶんが思い描くようなブランディングになるはずはありません。ここで言いたいのは表現を問題にする以前に、目ざすべきゴールを見直さないとすべてのコミュニケーション活動がムダになっている。だから、結果に繋がらないということです。

 最適なコミュニケーションとはまず、「じぶんが行きたいところ」「じぶんがなりたい姿」をキチンと思い定めること。そのことを的確に伝える表現を持つこと。その表現をコアアイデア(コミュニケーションの核となるもの)にして、じぶんが持っているコンタクトポイント(ターゲットとの接点)を繋いでいくこと。そうすれば、最大限の効果を発揮することができます。それが、ここでの“コミュニケーションの改善=それって、コミュニケーションの問題だよ”ということになります。

本来持つべきシズル(コンセプト)、コンセプトの見直しにより正しいゴールへ誘う

 いまのチラシが効かないからインパクトを出して欲しい。これも良くある相談です。問題解決がインパクトで良いなら、キャッチフレーズを大きくすれば効きますか。チラシ全体を真っ赤にすれば効きますか。そういう問題ではないと思いませんか。

 かのアインシュタインは、「問題をつくりだしたのと同じ思考では、その問題を解決しない」と言っています。まさに、その通りなのです。チラシが効いていないのに、なぜチラシの表現だけを変えようとするのでしょう。チラシじゃない方法で知らせようと、なぜ考えないのでしょう。

 ラブレターを送っても読んでもらえていないのに、文章を変えて何度も、何度もラブレターを送るのと同じです。封さえ切ってもらえてないのです。ならば、ラブレターという手段から考え直さないと愛は届きません。

 例えば思い切ってTシャツに書いて、それを着て憧れのひとの前を往復してはどうでしょう。方法を変えるとメッセージを読んでもらえる可能性が広がります。「いままで問題をつくりだしていたのと同じ思考でやらない」というアインシュタインの言葉に倣ってみましょう。コミュニケーションする方法から考えてみましょうよ。

問題は表現にあるのでしょうか?、伝える方法を変えてみる

 良い商品をつくっているのにぜんぜん売れない。こういう声もよく聞きますよね。ほんとうに商品が良いなら、ぜったいに売れると思うのですが、意外にそうでもないのです。商品の良し悪しを決めるのはつくり手ではありません。つかい手です。

 これをコミュニケーションに置き換えたら、送り手と受け手ということです。送り手(つくり手)の意図が受け手(つかい手)に伝わらなければ、どんなに良いことを言ってもだれも振り向いてはくれません。だれも興味を持ってくれません。これぞ、一方通行の情報発信(インフォメーション)です。せっかくの良い商品の特長(送り手の想い)が受け手に届いていないのではないでしょうか。

 コミュニケーションではなくインフォメーションになっていないかを考えてみることです。いくら特長を連呼しても、その特長に共感できなかったらその製品の魅力は伝わりませんよね。こころを動かさないとひとは動きません。つまり、行動に繋がらないということです。

いくら利点を連呼しても興味をひかないと流れていくだけ。ポイントは、コミュニケーション(双方向の意思疎通)を引きおこすこと

 まず、ひとを振り向かせる。そして、興味を持たせる。そして、行動に繋げる。これは、人間が情報にふれたときの理想的な行動パターンを示しています。「AIDMAの理論」という言葉くらいは聞いたことがありますよね。「Attention→Interest→Desire→Memory →Action」という順に人間が行動するようにコミュニケーションを考えましょう。ここは純粋に表現に問題があるゾーンであると言えます。

 社員が会社のことを理解してくれない。こういう問題も日常的に起こりやすいものです。単に社長の話が下手というのでは、それこそお話になりません。(笑)
月曜日の朝から社長が難しい話をしても聞きたくないとか?いきなり押し付けがましく言われてもなあというのもあるでしょう。どちらもありがちですが、例えばみんなでケーキでも食べながらリラックスしながら意見を交換する場を持てばどうでしょう。

 伝えたいことをラブレター(告白)だと考えれば、どこで渡すかで効果のほども変わってくるというものです。もちろん、ラブレターの中身はもとより、ラブレターの素材までも変えてみたらコミュニケーションのやり方そのものが変わっていきます。どんなラブレターをどこで渡す(情報の発信方法)と効果的かを常に考えましょう。ちなみに、これは「コミュニケーションデザイン(コミュニケーションのやり方を設計する)」という考え方の応用です。

 いかがでしたでしょうか。最終回はあなたのまわりで起きていそうな問題や、あなたが抱えているかもしれない課題を例に話しました。ここで述べたように、そういった課題のほとんどが、コミュニケーションの改善や活性化で解決することが多いものです。ですから、これを機会にコミュニケーションをもっと知ってください。そして、効果的なコミュニケーション活動に取り組んでみましょう。
3回にわたってお話しした内容が皆さんの問題や課題の解決に役立つことを願っております。

 では、また!

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