ブランド構築/包装開発ストーリー:パッケージ開発とブランディング(和包丁編)

公開日:2022年5月3日(火)|お知らせ

ブランド構築/包装開発ストーリー:パッケージ開発とブランディング(和包丁編)

新ブランド立ち上げとパッケージ開発

堺打刃物/高級和包丁の新ブランド「HADO(株式会社福井)」のパッケージ開発とブランディングについて、「月刊カートン&ボックス/2022年4月号」にブランド構築を含めたパッケージデザイン開発ストーリーを掲載していただきました。

<包装開発ストーリー>
堺包丁、貼箱で差別化
欧州をはじめギフト需要に商機

株式会社福井

 今、日本製包丁が海外で人気を博している。そんななか昨年5月末、日本三大刃物産地の一つ大阪府堺市から新たな刃物ブランド「HADO」が誕生した。創業110周年目を迎える老舗刃物店の福井(堺市堺区)が手掛けたもので、ブランド立ち上げにあたり、同社代表取締役の福井基成氏は「圧倒的な差別化を図るため、パッケージに強いこだわりをもった」と話す。

 HADOは、同社が数十年ぶりに立ち上げたオリジナル商品。社内の刃物職人と堺の伝統工芸士が一つひとつ手加工で仕上げた逸品で、切れ味や耐久性、上質なフォルムの美しさなど、業界トップレベルのクオリティを有す。 
 HADOの販路に選んだのは、欧州の刃物小売店だ。2018年、ブランド名が決まる以前から、徐々に営業提案に取り組むものの、なかなか契約に結び付かなかった。

 製品自体のスペックの高さを強調するが、商談相手の現地販売員は、日本人以上に和包丁に詳しい刃物のスペシャリストたち。すでに新潟県燕市や岐阜県関市の有名刃物メーカーが海外展開に取り組むなか、後発かつ認知度の低い同社の製品を取り扱う小売店の開拓には苦労した。
 どうすれば、付加価値の最大化が狙えるか。さまざま考えを巡らせるなか、行き着いたのがパッケージだった。

 一般的に海外の刃物小売店では、商品を裸のまま陳列することが多い。パッケージごとディスプレーができれば、他商品との完全な差別化を図ることができる、早速、パッケージメーカーをリサーチし、“カッコ良い箱”の企画をスタートした。
 リサーチ方法は、インターネット。「カッコ良いパッケージを作れる会社を」と検索を進めるなか、2019年、村上紙器工業所(大阪市西成区)代表の村上誠氏との出会いを結ぶ。 ちなみに貼箱を選んだ理由について、「単純に箱の種類を知らなかっただけ。当初から貼箱一択だった」と同社海外事業部責任者の市川善夫氏は述べる。

100種の包丁、3サイズの箱へ

 パッケージ作りには、村上氏ほか、アートディレクターの浪本浩一氏(ランデザイン)とコピーライターの田中有史氏も参加し、ブランディングの観点から進められた。ブレインストーミングでは、自己紹介から始まり、堺の地域性や刃物業界の現状などを共有。計6回のブレストを重ね、互いの共通認識を高めていった。
 その後、昨年1月に取得した「堺市中酒企業デジタルトランスフォーメーション促進補助金」をきっかけに、貼箱作りは一気に加速。同時に自社ブランド「HADO」とブランドのウェブサイト立ち上げに取り組んだ。

 貼箱作りでは、「天面のグラフィック」「内側の構造」「貼り紙」のそれぞれに強いこだわりを注いだ。例えば、商品の第一印象を決定づける天面のイラストは、フランスの人気イラストレーター、フィリップ・ワイズベッカー氏(Philippe Weisbecker)へ依頼し、描いてもらったもの。「何のツテもなかったため、半ばダメ元だったが、1ヶ月もたたないうちにイラストが届いた」(市川氏)と振り返る。
 貼箱全体のデザインについては、浪本氏が担当。中ゲスの高さや段差などの細かな構図は、村上氏が対応した。

 箱のサイズは3パターンで展開した。約100SKU(最小管理単位)の商品をサイズ別に三つに分類し、パッケージ底の色をサイズ毎に黄、赤、青と分け、ディスプレイしたくなる仕掛けを施した。包丁が浮き上がらないよう、細かな調整と細工を行い、手加工ならではの上質な美しい貼箱に仕上げた。
 キービジュアルをウェブサイトやSNSに投稿した結果、ハンガリーやオランダなど、これまで取引のなかった地域から問い合わせ寄せられた。この結果に対し、福井社長は、「従来品の貼箱に比べ、約10倍のコストはかかったが、圧倒的な差別化に繋げられた。今までにない新たな刃物の価値が顧客に届いている」と手応えを感じる。

持続可能な堺の伝統産業を

 昨年5月の販売開始後、6ヶ月分の受注を得た。特に欧州では、贈答用として包丁をプレゼントする習慣があるとし、「ブランディングの方向性が、欧州のギフト需要にはまったのかもしれない」(福井社長)と分析する。
 伝統工芸品である堺打刃物。同社では、持続可能な地場産業を目指すため、職人育成にも力を注いでいる。「生産数も調整しながら、国内外のチャネルを通じ、『HADO』の魅力を発信したい」(福井社長)と意気込みを述べる。(編集部・吉野加代子)

株式会社福井
堺市堺区九間町東1-1-10
TEL:072-227-0001

月刊カートン&ボックス/2022年4月号(日報ビジネス)

詳細については、こちらをご覧ください。
パッケージからはじまるブランディング、和包丁ブランド

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(まずは、ちょっと電話で聞いてみたい時は06-6653-1225 担当:村上 誠 まで)

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