古き良き時代の“モノ”。

公開日:2017年03月23日(木)音楽・写真

久々に、オーディオネタです。
泣く子も黙る直熱三極出力管、真空管の女王といわれる元祖・米国RCA製(Made in U.S.A.)「2A3(1933年にRCAで開発されました)」をオークションでGETしました。

初期のシングルプレートの2A3に次ぐ古いバージョンで、トップマイカには角型サポート、フィラメントはコイル吊り、ゲッタはちりとり型1枚の構造となっています。プレートはススを吹いたような真っ黒で、マグネシウムゲッタもたっぷりあり、とても元気な球です。この真空管の製造年代は詳しく分かりませんが、上部にフィラメントを釣るコイルの付いているタイプは第二次大戦よりも前の年代であるようです。戦争での物量を確保するために構造が簡素化される前のタイプかと思われます。恐らく、1930年代後半から40年前後くらいのヴィンテージ管です。つまり今から、70〜80年くらい前の球です。

元々使っていた、ロシア製の球をこちらに交換。早速、鳴らしてみました。ま〜エージングが出来ていないので今の段階では何とも言えないところですが、ファーストインプレッションは「落ち着いたオトナの音」になったという感じでしょうか?
もっと時間をかけて鳴らし込まないとわかりませんが、ピアノは芯が通ったというか、変に味付けのないかなりリアルな音になった感じです。ただベースは、ちょっと後ろに下がったような雰囲気です。いずれにしても火を入れたところですから(笑)、微妙ですね〜!!

このRCA製は、ロシア製に比べてプレート損失と最大プレート負荷電圧が低いので、このままでは負荷がかかるため、整流管(交流を直流に変換する真空管)を変えることで負荷電圧を少し下げてやるつもりです。こちらもRCA製のものを、オークションで落としましたw。

真空管アンプでは、同じ回路で球だけを他社製に変えることを「チューブ・ローリング」といいます。日本語だと「球転がし(たまころがし)」?
完全なアナログなので真空管も数十年前のものが使えますし、デジタルのように「データが同じなら同じもの」というのが通じない世界です(笑)。理屈的にいえば同じタイプ(2A3)なら同じ“音”になるはずですが、作る会社が違えば“違う音になる!! ” というのがアナログのおもしろさですね…。

このあたりは、カメラやそのレンズに似ています。特にレンズはメーカーによってとても個性があり、今の最新設計のレンズは性能としてすばらしいですが、昔の銀塩時代のレンズの方がいい意味で“味”がありますからね〜。
今のデジタルな時代だからこそ、古き良き時代の“モノ”を大切にしていきたいです……。

出力管を替えたのに続いて整流管も、米国RCA製の5R4GY(軍用)をオークションでGET。こちらは1960年代前半に製造された、50年以上前の球です。
整流管なので、簡単に言えば交流を直流に変換するだけで、これを替えて音が変わるのかと思ってたのですが、替えてみてびっくり。ピアノの音色が、いきなりエレガントになりました。スゴイですね〜、整流管でこんなに音が変わるとは??
まだピアノしか聴いてませんが、より音の芯がしっかりして、気品が加わった感じです。恐るべし、年代ものの真空管。
いや〜オモシロイですね、アナログサウンドは…!!

5R4GYの出品者にその話を伝えると、こんなお話を伺いました。
”Quiet Tube” ….素敵な言葉です。

整流管では音は変わらないと思っている方が多いのですが、正確なパルスを発生できる整流管は100V電源をクリーンにしてアンプに送り込むいわゆるアイソレーション機器と同じ役目を果たします。
従って、静寂な背景の中に粒立ちのしっかりした音が感じられるようになります。こういう表現ができる真空管を海外では、”Quiet Tube” と呼びます。
2A3ならRCAがベストですから、好結果が再現されているのでしょう。

出力管、整流管に続いて、ドライバー段の6N8S (6SN7互換)。
数年前にオーディオの恩師からいただいた東芝製をずっと使ってましたが、調子にのってこれも交換してみることに。
ネットで調べると米国シルバニア製がかなりいいとのことでしたが、FOTON製(旧・ソ連邦)の6N8S(6SN7互換)が すごくいいという人が何人かおられ、こちらもオークションでGET。1958年製、旧・ソ連邦タシュケントのフォトン工場で製造された球で、軍用のOTK(ワルシャワ条約機構軍規格球)マーク付きです。

早速差し替えて、聴いてみました。確かにピアノの音は中高音の伸びといい、よりリアリティーのある澄み切った奇麗な音色です。低音も、かなり締まった感じに。
そして「弦」です。昔からアンプやスピーカーの音色を確認するのはこの一枚。イ・ムジチ合奏団のヴィヴァルディー「四季」(1982年録音 コンサートマスター:ピーナカルミレッリ)、<冬>の第一楽章の途中から入るヴァイオリンのソロ。とにかく、弦がちゃんと鳴らないとアンプはダメです。
かけてみましたが、弦の艶やかな響きと奥行き感が秀逸です。しかも落ち着いた大人のサウンド、しっかりとした厚みのある音です。かなり、オトナのアンプになった感じ。

んん〜、噂には聞いていましたが、球を替えてこんなに音色が変わるとは驚きです。
今回調子にのって出力管、整流管、ドライバー段とすべての真空管合計5本を総入れ替え。かかった費用は約4万5千円ほどですが、別のアンプを新調したような変わり方です。確かにちょっと費用がかかりましたが、音色のレベルが2ランクぐらい上がった感じにしたら、いい投資だったように思います。
球転がしは一旦終了、でもちょっといじってこれだけ音が変わると、欲が出てきますw。今度は回路中のカップリング・コンデンサーを、高級なオイルコンデンサーとかに替えたくなります〜!!

古き良き時代の“モノ”。米国RCA製2A3
古き良き時代の“モノ”。米国RCA製2A3
古き良き時代の“モノ”。5R4GY
古き良き時代の“モノ”。6N8S
古き良き時代の“モノ”。6N8S
古き良き時代の“モノ”。6N8S
古き良き時代の“モノ”。米国RCA製2A3

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